インタビュー

Interview 使用電力量をコントロールすることで省エネルギーを追求する。

電車では、回生電力を利用する省エネルギー車両の導入などで環境対策を推進していますが、駅では何ができるのか。現在工事が進められている東北沢〜世田谷代田間の複々線化事業区間にある3駅(東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅)では、自然エネルギーの効果的な活用や環境にやさしい機器を導入しており、世田谷代田駅は今年3月に地上駅舎が完成しました。この完成に合わせ、世田谷代田駅には「小田急環境ルーム」を設置しており、今回は、そこに至る過程や思いなどを担当者が語ります。

回答者

小田急電鉄株式会社
複々線建設部 下北沢工事事務所 山口 大河さん(左)
下北沢工事事務所の建築担当として、世田谷代田駅の計画・設計・工事発注・工事管理業務を行っている。お客さまや地元の皆さまに愛着を持っていただけるような駅づくりを目標にしている。今回、環境施策の導入にあたっては「効果的な環境負荷低減施策」「他では見たことがない施策」をコンセプトに計画を進めた。

CSR・広報部 渡邊 直弘さん(右)
環境対策の立案や実施における社内およびグループ会社への調整などを担っており、小田急環境ルームは、計画段階からガイドツアーの運用まで全てを担当。小田急環境ルームのガイドツアーでは、参加していただいた方々とコミュニケーションを図り、環境への関心を高めていただくよう努めている。

 

―――はじめに、世田谷代田駅を“環境に配慮した駅”として計画した経緯をお聞かせください。

 

当社では、朝のラッシュピーク時間帯の混雑緩和や所要時間の短縮といった輸送サービスの向上を実現するため、東北沢から和泉多摩川間の10.4`を事業区間に、上下線を各2本ずつ計4本の線路にする「複々線化事業」を行っています。また、当社の複々線化事業は、東京都の連続立体交差事業と一体的に実施しており、現在は事業区間内の全ての踏切が廃止され、慢性的な交通渋滞が緩和されるなど地域にも一定の効果が現れています。これまでに、世田谷代田から和泉多摩川間の8.8`はすでに完成していますが、現在は、2018年3月の複々線完成を目指し、残る東北沢から世田谷代田間の1.6`の工事を進めているところです。

この東北沢から世田谷代田間は地下トンネル構造となっており、地上には東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅の駅舎を構築します。トンネル内、駅施設において、照明や換気、空調など使用電力量の増加といった環境負荷が高まることは予測されていたことから、世田谷区の環境基本条例なども踏まえ、3駅については、環境に配慮した駅舎を追求することとなりました。(山口)

工事が進む世田谷代田駅の緩行線ホーム
工事が進む世田谷代田駅の緩行線ホーム
 

―――具体的には、どのような環境対策を講じたのでしょうか。

まず、計画を進めるにあたり、地下という環境特性を踏まえた環境対策とは何かを考えました。その答えの一つが、東北沢駅、世田谷代田駅における、一部の空調に鉄道トンネルでは日本初となる「地中熱ヒートポンプシステム」の採用です。これは、年間を通じて温度が一定している地中熱の特性を利用して熱交換を行い、空調効率を向上させるもので、従来のシステムと比較して使用電力・CO2排出量は年間約30%の低減につながります。

 

さらに、太陽光発電システムの採用により、例えば世田谷代田駅では1日平均約90kWhを発電し、晴天時昼間の駅の照明に使用する電力を賄っているほか、屋上から採光した自然光を鏡の反射で地下階まで運ぶ「光ダクト」の設置による節電など、自然エネルギーを最大限に活用した省エネルギー対策を実現しています。

導入された自然彩光方式の光ダクト 導入された自然彩光方式の光ダクト
導入された自然彩光方式の光ダクト

他にも、ホームやコンコースへのLED照明の設置、回生電力を利用したエレベーターや人感知型のエスカレーターの導入、券売機におけるエコモードの組み込みなど、自然エネルギーの活用および環境にやさしい機器の導入などできる限り環境対策を実施し、使用電力・CO2排出量の削減・抑制に努めました。(山口)

―――世田谷代田駅には、「小田急環境ルーム」というものもあります。これは、どういったスペースなのでしょうか。

 

「小田急環境ルーム」は、当社の環境活動の理念や取り組みを効果的にPRするため、世田谷代田駅のコンコースに開設しました。デジタルサイネージにより当社の環境の取り組みを動画で紹介するほか、東北沢駅および世田谷代田駅の太陽光発電の状況などを表示しています。また、地下トンネル区間、シールドマシン、世田谷代田駅、回生ブレーキの模型と車輪などを展示し、さまざまなステークホルダーに対して、当社の環境にかかわる取り組みの理解を促進しています。

特に、地下トンネル区間では、照明や換気などの面において、地上駅より多くのエネルギーを使用するので、自然エネルギーの活用や環境に優しい機器を導入したことを強調しています。

普段は、自由に見学いただけるほか、当社のWEBサイトから申し込みのガイドツアーでは、説明者が赴き、同コーナーに設置した模型や映像ソフトを活用し説明したり、駅の環境施策の見学を行うなど、地域の方々との貴重なコミュニケーションの場となっています。(渡邊)

小田急環境ルーム
小田急環境ルーム
 

―――「小田急環境ルーム」の運用を開始してからの反響をお聞かせください。

小田急環境ルームを開設して5カ月が経過しようとしていますが、これまで多くの方にご覧いただけたと思います。ガイドツアーや関係会社などの見学者は350名を超えており、鉄道や環境への関心の高さを感じています。

ガイドツアーでは、少人数で動画や模型を使用して説明できるので、一般的には馴染みが薄い回生ブレーキや防音車輪の特性などもご理解いただいているほか、当社の環境の取り組みだけでなく、みんなで環境に取り組んで行く必要性なども伝えるよう努めています。

小田急環境ルームの展示物の中で、1番人気はなんと言っても回生ブレーキの模型で、これには、EXE(30000形)で使用していた本物の主ハンドルを使っています。主ハンドルを力行位置にすると速度計の指針が上がっていき、ブレーキ位置に移行するとモーターで発電した電気を架線に戻し、他の電車が使用することをLEDで表示します。

今後も来場者に喜んでもらえるよう、小田急環境ルームのメニューなどもレベルアップさせていきたいと考えています。(渡邊)

―――来年3月に複々線が完成しますが、今後どのような環境施策を実施していきますか。

 

「小田急環境ルーム」は、当社の環境活動の理念や取り組みを効果的にPRするため、世田谷代田駅のコンコースに開設しました。デジタルサイネージにより当社の環境の取り組みを動画で紹介するほか、東北沢駅および世田谷代田駅の太陽光発電の状況などを表示しています。また、地下トンネル区間、シールドマシン、世田谷代田駅、回生ブレーキの模型と車輪などを展示し、さまざまなステークホルダーに対して、当社の環境にかかわる取り組みの理解を促進しています。

特に、地下トンネル区間では、照明や換気などの面において、地上駅より多くのエネルギーを使用するので、自然エネルギーの活用や環境に優しい機器を導入したことを強調しています。

複々線工事の様子
複々線工事の様子

普段は、自由に見学いただけるほか、当社のWEBサイトから申し込みのガイドツアーでは、説明者が赴き、同コーナーに設置した模型や映像ソフトを活用し説明したり、駅の環境施策の見学を行うなど、地域の方々との貴重なコミュニケーションの場となっています。(渡邊)

―――貴重なお話、ありがとうございました。

※ 内容は2017年9月現在のものです。