当社では、事業活動に伴う環境対策以外にも、環境問題への意識向上につながる取り組みを行っています。その一つが、廃食油を原料とした「リサイクル石けん」の使用です。今回は、導入に至るきっかけから、どのような製造サイクルを経て消費者の手元に届くのか、当社とメーカー、それぞれの担当者の想いを交えながら、紹介します。

いくつかの偶然が重なり、製品の導入へ至る。

環境問題への関心が高まる中、当社ではグループ各社と共に環境活動全般について考える意見交換を行ってきました。その中で、飲食業を展開する会社では、保管場所の問題などもあり、廃食油を店舗ごとに固めて処理しているということでした。有効活用できる手段はないかと悩んでいたところ、「ふと目にしたのが、廃食油が石けんにリサイクルされているという新聞記事でした」と振り返るのは当社環境担当の伊藤さん。早速、メーカー側に問い合わせると、「すでにグループの6つの事業所で、個別に廃食油の回収を委託していたことが分かったのです」。

一方、製造・販売を手掛けるヱスケー石鹸の立花さんも「リサイクル石けんの開発は、2002年、とある居酒屋チェーンから受けた相談がきっかけでした」と話します。それこそが、廃食油を再利用した石けんを作れないかというものでした。その後、「廃食油の精製メーカーと協力し、不純物を除去する技術を確立。廃食油を精製した脂肪酸を原料にしたリサイクル石けんの商品化に成功しました」。

いくつかの偶然が重なって、2013年5月、当社では本社ビルの洗面所の一部でリサイクル石けんの導入を開始しました。「食用油は流せば水質汚染を起こし、燃やせば地球温暖化を加速させてしまいます。導入の決め手は、環境に優しい素材で、当社の施設から排出された廃食油を有効活用できる点ですね」(伊藤さん)。

導入施設を増やし、環境意識を高める。

調理場から回収された廃食油は、脱水・ろ過、処理業者による精製を経て、リサイクル石けんへと生まれ変わります。従来の廃食油を原料とした石けんは、不純物が残っていたり、いやな臭いがしたり、見た目や手触りが良くないものもありました。ヱスケー石鹸では、商品化以降も改良を重ね、2006年には見た目や香りも通常の石けんと変わらない、高品質な現在の商品にたどり着きました。

リサイクル石けんは、現在およそ50社で導入。環境問題や社会貢献活動に関心の高い企業のほか、固形石けんの原料には、香料や着色料、合成界面活性剤などの添加物は一切含まれていないため、小学校をはじめとした自治体での導入も広がっています。「学校用の石けんは子どもが使いやすいように小型化しているほか、小さいころから少しでも環境に興味を持ってもらうために“環境教育”をテーマにした出張授業なども行っています」(立花さん)。

「現在、リサイクル石けんの導入は本社ビルの一部ですが、今後はグループ各社においても使っていただきたく、また、廃食油の処理についても各社に提案を行い、導入の可能性を検討していきたいと考えています」(伊藤さん)。さらに、ショッピングセンターなど一般のお客さまがご利用される施設においても、同様に導入の可能性を探っていく予定です。その際、「環境問題をより身近に感じていただけるよう、廃食油を原料としたリサイクル石けんであることを記したポスターやPOPを掲出するほか、鉄道グッズとしての商品化も検討しながら、環境への意識を広く訴えていきたいと思います」(伊藤さん)。

プロフィール

小田急電鉄株式会社
CSR・広報部 伊藤 直子さん
当社およびグループ会社の環境対策をまとめるチームに所属し、日々環境問題の把握、対策の検討などに努めている。

ヱスケー石鹸株式会社
営業部 立花 静さん
営業マンにして広報マン。同社のリサイクル石けんを広め、幅広く使ってもらうことで、環境への貢献を実践している。

環境に配慮した取り組みの推進(環境報告書2013)