Case Study 地域の環境資源を慈しむ取り組みの推進

小田急グループの一つ、小田急食品株式会社。同社では、沿線、駅でおなじみの「箱根そば」のそば・うどんなどの麺類や、沿線に点在するスーパーマーケット「Odakyu OX」で販売されるおにぎりなどの米飯類を中心に食品を製造しています。同社の工場は、湧水豊かで、水を大切にしていることで知られる神奈川県座間市にあります。水は、食品にとっても生命線。水とともに生きる同社の環境への取り組みを紹介します。

品質を支える、清らかな水があってこそ。

「座間は、昔から水がおいしいことで知られ、座間丘陵に浸み込んだ雨水が湧水として湧き出しています」。そう語るのは、八代さん。小田急食品(株)の営業マンです。座間市は、現在でも市内の十数カ所に湧水が見られ、公園などでは、夏にホタルが見られることもしばしば。そんな豊かな生態系を有する座間市に工場を持つ同社では、年間を通じて水温が安定している地下水の特長を生かし、半世紀前の工場開設時から座間市の水とともに歩んできました。「旧工場では、豆腐の製造や茹そばも手掛けていたため、今と比べると、水の使用量はだいぶ多かったですね」。

2012年に新工場となり、LED照明の導入など環境対策は着実に講じられていますが、麺類、米飯類の製造にあたっては、それでも、1日あたり約250トンもの地下水をさまざまな工程で使うことに変わりはありません。製造部長を務める中川さんは、「麺製造の工程で言えば、まず、汲み上げた地下水をろ過し、仕込み水として使用します。その仕込み水でそば粉や小麦粉を練り、生麺へ仕立てていきます。さらに、生麺を茹で上げるのにも地下水を使用しています。また、米飯製造の工程では、お弁当用の白飯やお寿司の酢飯にも地下水を使用しています」と話します。この他、食材や生産機器の洗浄にと、同社にとって地下水は、食品づくりにおけるさまざまな工程で重要な役割を果たしています。

しかし、豊富な水資源の上にあぐらをかいていては、地域環境にダメージを与えてしまうだけでなく、同社の事業が成り立たなくなってしまう恐れがあります。「確かに座間市は水量に恵まれている土地柄ですが、枯渇しないとは言い切れません。将来のためにも、地下水を守る取り組みが必要だと考えています」(八代)。食品づくりで使用した地下水をろ過してから排水することはもちろん、同社では、「高座地区河川をきれいにする会」に加盟し、河川パトロール・河川環境美化活動に参加しています。

地域に根差した循環型社会の構築のために。

もう一つ、同社が、環境のために取り組んでいるのが食品廃棄物のリサイクルです。工場では排出された食品残さ物を冷蔵保管していますが、これは臭気対策と同時に、できるだけフレッシュな状態でリサイクルを行うためです。食品残さ物は、相模原市の(株)日本フードエコロジーセンターに卸しリサイクルしています。ここでは、食品業者で発生する食品廃棄物を独自の技術で殺菌・発酵処理し、リキッド発酵飼料(液体状飼料)を製造しており、この飼料づくりのためにフレッシュさが欠かせないといいます。そして、リキッド発酵飼料で飼育した豚がブランド豚肉「優とん」(※1)となり、店頭などで販売されることとなります。「製造からリサイクル、そして消費という循環型社会の実現による環境負荷の低減に貢献するためにも、『優とん』を使った新しい商品をつくれればと構想を練っています」(八代)。

  1. ※1(株)日本フードエコロジーセンターが、食品循環型資源を使い育てた豚肉で、小田急商事(株)が商標登録を取得。「食のブランドニッポン2011」(農林水産省・農研機構)選出商品。

また、食品廃棄物の総量を減らすことにも取り組まなければなりません。「私たちは、食品残さ物と言い、それを“ロス”と呼んでいますが、この中には、製造工程上避けられない“必要”なロスがあります。それを正しく把握し、削減可能なロスの目標値を設定することで、適切な総量の減少に努めるべく取り組んでいます」(中川)。

24時間体制で稼動する工場の在り方を考える。

環境資源の保護や食品リサイクルのほか、24時間体制で稼働する同社の工場では、エネルギーを最小限に抑えるために工場内の電灯はLED照明を主体とし、工場内事務所の空調は夏期28℃、冬期20℃に設定するなど節電対策にも積極的です。「蛇口を回せば水が出る。当然のことと捉えがちですが、地下水もエネルギーも限りある資源です。豊かな水資源の恩恵を受ける立場として、従業員一人一人の環境への意識も、もっと高めていきたいと思っています」(中川)。

そして、2012年には、炊飯、米飯加工品で日本炊飯協会のHACCP認証(※2)を取得するなど、水質や温度管理、細菌検査など「安全・安心」のための徹底した品質管理も実践しています。「地下水についても、約50項目にわたる地下水法定検査を年2回実施し、1日1回の塩素濃度検査や不純物除去装置の点検など、安全性と品質の向上に努めています」(八代)。

  1. ※2 HACCP…食品の製造工程における品質管理システムのこと。

———地域に根差し、日々食品づくりを営むからこそ、切り離すことはできない「環境」と「安全」のこと。同社では、これからもずっと座間の水とともに生き、おいしい麺やおにぎりを届けてくれることでしょう。

プロフィール

小田急食品株式会社

製造部長 中川 忠彦

製造部門を総括する立場として製品の品質管理に尽力するほか、日々のコミュニケーションを通したより良い職場環境の構築に努めている。

小田急食品株式会社

営業部 営業グループ

グループリーダー 八代 直人

営業担当として、小田急商事(株)や(株)小田急レストランシステムといったグループ各社の窓口業務を担当。新規外部開拓にも努めている。

  • 内容は2014年9月現在のものです。

環境に配慮した取り組みの推進(環境報告書2014)