Case Study 地域の環境資源を慈しむ取り組みの推進

小田急線新宿駅のほか、小田急百貨店新宿店が入居する「新宿西口駅本屋ビル」。お客さまにより良いサービスを提供するためには、施設や設備の充実が求められる一方で、それは膨大なエネルギー使用量の増加にもつながってきます。そうした中、新宿西口駅本屋ビルでは、環境面において、どのような設備が備わり機能しているのでしょうか——。ここでは、株式会社小田急百貨店を主体に小田急グループ各社が連携して行った空調用熱源設備の更新に伴う、環境負荷低減に向けた取り組みを紹介します。

温暖化対策に向けた取り組みは、関係者一同で。

「大型施設の空調システムにはいくつかの方式がありますが、当ビルでは熱源機器により発生させた冷温水をフロア別の空調機のコイルへ送水し、空調を行っています。今回、更新を行った空調用熱源設備とは冷水・温水をつくり出すための設備で、まさに空調設備の心臓部ともいえる存在です」。そう話すのは、(株)小田急百貨店で施設・店舗デザインを担当する服部さん。

更新に至るきっかけは、大きく2つありました。ひとつは、設備の耐用年数を考えると老朽化対策を講じなければならない時期であったこと。もうひとつは、2008年に改正された東京都環境確保条例への対応でした。これは、事業者らに温室効果ガス排出総量の削減を義務付けたもので、新宿西口駅本屋ビルにおいても2010年~19年の10年間で約1.8万トンという大幅なCO2削減を迫られることとなりました。

「そこで、2010年からビルを所有・管理する小田急電鉄(株)や設備を管理・運用する小田急デパートサービス(株)の関係者が集まり、設備の更新に伴う具体的な省エネ対策の協議を始めました。そこで、当時、建物全体の約30%を占めていた熱源関連設備のエネルギー使用量にはまだ削減の余地があると考え、2011年10月からの改修工事を経て、2013年7月の運用開始を目指すこととなったのです」(服部さん)

エネルギーの効率化と最適化を図る。

こうした経緯を踏まえ、空調用熱源設備の更新は、いかにCO2排出量を削減できるかという点を重視。あわせて、東日本大震災の経験を生かして、ピーク電力の低減などにも努めました。

具体的には、より効率に優れた機器の採用や系統の見直しに加えて、インバータ制御やBEMS(※)を導入することで、効率化と最適化を図りました。「とりわけ、BEMSの導入によって、省エネ効果の“見える化”が実現されたことで、ピーク電力の抑制や熱源機(冷凍機)の稼働時間の均一化、冬期蓄熱効率の低下改善などにもつながりました」(服部さん)

一方、改修工事は百貨店の営業を継続しながらの作業となったため、機器の搬入においては撤去と復旧を繰り返しながら実施したほか、ビル独特の立地条件が工事をさらに困難なものとしました。 

服部さんとともに設備更新に携わった(株)小田急百貨店の小野さんは、「当ビルは小田急線新宿駅と一体構造となっています。そのため、改修工事の実施時間は鉄道運行時間外の数時間にするなど諸条件をクリアする必要がありました。さらに、熱源設備は百貨店だけでなく新宿駅の一部でも使用されていたため、安全面や騒音などにも配慮し、鉄道施設への影響を最小限に抑えるように努めました」。

  • BEMS…ビルエネルギーマネジメントシステム。省エネ運転監視装置。

さらなる省エネ化を目指して。

今回の空調用熱源設備の更新によって、2013年度のCO2排出削減量は2007~09年度の平均値と比較して約20%(約3,000トン)の削減を実現。これは、更新前に試算した結果を上回るもので、設備更新による省エネ効果は数字の面からも明らかとなりました。

また、小田急電鉄(株)、(株)小田急百貨店、管理会社の小田急デパートサービス(株)、設計・施工監理業者の4社間では、現在も年に2~4回の定例会議を開いています。ここで、新たに導入した設備の運用定着、省エネ効果の状況確認、不調時の対応を協議するなど、継続的な情報共有を通して、さらなる省エネ活動を推進しているのです。

なお、今回の小田急グループ各社が連携した環境負荷低減への取り組みは、「平成27年度 省エネ大賞」(主催:一般財団法人 省エネルギーセンター、後援:経済産業省)の「省エネ事例部門」に応募しています。これは本事業で導入したシステムが国内の同様な大型ビルへの応用も期待できることから、その効果を広く発信することで、さらなる環境負荷低減の推進につながればという想いによるものです。

プロフィール

(前列)

株式会社小田急百貨店

MD政策部 施設・店舗デザイン担当

マネジャー 小野 鉄男さん(左)

マネジャー 服部 剛幸さん(右)

(後列)

小田急デパートサービス株式会社

設備管理業務部

副部長 本橋 進さん(左)

設備管理業務部 新宿設備管理課

設備・建築係長 埜崎 隆司さん(中)

電気係長 原 利幸さん(右)

  • 内容は2015年9月現在のものです。

環境に配慮した取り組みの推進(環境報告書2015)