HTML5 Webook
6/16

AI×グローバル化で変化の時代がやってきます 5月から新元号に変わるけれど、子育てを取り巻く環境もまさに新時代を迎えています。その背景にある大きな変化の1つが「※AIの登場」。その技術は日々進化していて、計算や翻訳はもちろん、論文を書いたり手術をしたりすることも近い将来できるようになるともいわれているの。2030年には、現在ある仕事の約半数がAIで代行できる可能性がある、という試算もあるんです。これはつまり、子どもたちが選ぶ職業がこれまでとは変わってくることを意味しています。 もう1つの変化は「グローバル化」。交通や通信のインフラが整備されて、世界の国々の垣根が低くなっています。それなのに、日本の教育は閉鎖的で国際化から取り残されている危機的状況にあるんです。これからの時代は経済をはじめ、すべての領域を世界的視野で考えなければいけなくなることは必然ですね。※AIとは人工知能のこと。コンピュータの計算・情報処理能力を使って、言葉の理解や推測などの知的行動を人間に代わって行わせる技術新時代の子どもたちには思考力や活用力が求められます これら激しい時代の変化に対応して、2020年に、国が定める教育課程の基準を示した学習指導要領の改訂が約10年ぶりに行われます。これまでの指導要領の改訂は義務教育が中心だったのに比べて、今回はセンター試験を廃止して記述式の割合を増やした大学入学共通テストにするなど、大学入試改革と連動していることから、戦後最大の教育改革とも呼ばれています。 また、「学力観」が拡充するのも大きな特徴です。これからの教育では、知識・技能の修得だけではなく、それらを使って「何ができるか」「どのように問題解決するのか」、つまり、思考力や活用力の獲得まで目指されるようになるのです。 さらに戦後の教育改革で初めて授業方法が定義されました。これがよくいわれるアクティブ・ラーニング、日本語で表現すると「主体的・対話的で、深い学び」です。つまり、日本の教育全体として、暗記型で知識を詰め込んでいくのではなく、自分の興味や関心を抱いた部分をとことん突き詰めていこうという方針に変わるんです。子どもたちに必要なのは「生き延びる力」教育評論家・尾木直樹先生 子育てインタビュー「親が経験してきた教育は今の子どもにはまったく通用しなくなる!?」尾木ママの愛称でおなじみの教育評論家・尾木直樹先生に、新しい時代が始まる今、親たちがどんな心積もりで子育てをすればよいのか、子どもたちをどう見守っていけばいいのかなどについて、お話を伺いました。尾木先生のお話にも出てきた教育改革、どの点がどのように変わるのか、親としてこれだけは知っておきたいという基本的なことをまとめてみました。123学習指導要領の改訂大学入試改革英語教育の改革学校教育で育てる「資質・能力観」が変わり、知識・技能はもちろん、それを用いて思考・判断・表現する力が重要に。小学校では英語の充実やプログラミング教育の必修化など。センター試験に代わる「大学入学共通テスト」では、記述式問題も課されるように。英語は民間の外部資格・検定試験が活用され、個別学力試験も「多面的評価」を重視するように。「聞く」「読む」「話す」「書く」のバランスが取れた教育へ転換され、小学校3、4年生で 「外国語活動」、5、6年生で教科として英語を学ぶ。中学校では英語の授業は英語で行うことが基本になる。撮影/冨田 望 スタイリング/奈良則子 ヘア&メイク/松本由美子[アクロシェ・クール] 取材・文/木内アキ 協力/臨床教育研究所「虹」小学校中学校高校大学入試2017年度2018年度移行期間2019年度2020年度2021年度(英語)外部資格・検定試験のみ新課程入試初年度2022年度2023年度2024年度教科書検定採択・供給移行期間センター試験教科書検定採択・供給移行期間教科書検定採択・供給全面実施現行学習指導要領使用開始全面実施使用開始年次進行で実施大学入学共通テスト(英語)外部資格・検定試験/入試センター作問 併存期間使用開始6これだけは知っておきたい2020年教育改革の基本何が変わるの!?出典) 文部科学省「今後の学習指導要領改訂に関するスケジュール」(2017.05.12)等より、編集部で作成

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る