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子どもたちに必要な学力は「生き延びる力」なんです 世界 36カ国からなるOECD(経済協力開発機構)の研究によると、これからの時代を生きる子どもたちに必要な学力は「生き延びる力」だといわれているの。その力には3つの要素があって、1つめが「新しい価値を創造する力」。これまで「学力」とされていたような、知識の暗記や計算はAIがやってしまうから、それらを活かして新しい価値を創りだしていくのが人間の仕事になるんですね。2つめは「緊張とジレンマの調整力」。津波や大雨、株価の暴落など、これまで想像しなかった大災害や経済変動があちこちで起こる緊張の時代でしょう。災害を避けるのはもう難しいとわかっているから、最近は国も“防災”と併せて“減災”という言葉を使うようになりましたね。これからは予測不可能な事態が起こっても、いかに被害を減らせるか瞬時に調整する力が求められます。3つめは「責任を取る力」。「自分で説明できる力」ともいえるけれど、自分の置かれた状況を客観的に捉えて、責任を持って問題を解決していく能力です。失敗したら、なぜ失敗したのかを考えて、望む方向に軌道修正していけるようにならなくてはいけないんですね。※2018年11月現在自然界の予期せぬ出来事が脳や運動神経を発達させます これから必要になる「生き延びる力」を伸ばすために、実は「自然体験」がとても有効だといわれているんです。というのも、あらかじめシナリオが決まっているゲームと違って、自然の中には予定調和的な出来事がないんです。キャンプに出かけて突然雨が降ることもあれば、砂利道で転んで膝をすりむくこともある。そういう予期せぬ状況に直面することで、子どもの脳はそれに対応しようとフル回転して、感覚や運動神経を発達させ、心身をたくましくさせていくの。そうやって磨かれたとっさの対応力や判断力などがAIにはマネできない力につながっていくんです。幼少期はたくさん抱きしめて十分なスキンシップを! どんなに時代が変わっても、子育てにおいて決して変わらない原点は「愛情」です。でも、その伝え方は年齢ごとに違うのよ。幼児期までに大切なのは「基本的信頼の形成」。できるだけスキンシップを取り、いっぱい抱きしめてあげることで、子どもの心は安定するんです。小学校3年生くらいになると、子どもたちはグループを作るようになります。そのとき、集まってゲームばかりしていたとしても、単にそれを取り上げるだけではダメ。禁止するのではなく、自然やプレイパーク、公園で遊ぶことなど、ゲーム以外にもより面白いことがあるということに気づくよう、大人が導いてあげるといいですね。思春期になったらより人格を尊重してあげましょう 思春期には、これまで以上に1人の人間として人格を尊重して接する姿勢が重要です。自立のためには、親が距離を置いて子どもが一人になる時間をつくることも大事。子ども部屋に入るときも必ずノックをして、どんなに散らかっていても勝手に掃除をしたりしないこと。こっそりメールを見る、なんてもってのほかよ! そうやって心身の成長や発達に合わせて子どもを認め、自立を促していくことで、親子の信頼関係やパートナーシップを築いていけるんです。「自然体験は子どもの心と体をたくましく育てる!」「子育ての原点は『愛』年齢ごとに親の接し方も変わるのよ!」※9自然体験ができる羽根木プレーパーク住所:東京都世田谷区代田4-38-52(羽根木公園内)電話:03-3324-9284電車:小田急線「梅ヶ丘」駅下車徒歩5分HP:http://playpark.jp/hanegiプレーワーカー 「まっく」さんData公園の中で木登りや泥んこ遊び、たき火などの自然体験ができると話題の、日本初の常設の冒険遊び場・羽根木プレーパークに行ってみると、子どもたちの笑顔がたくさんあふれていました!ここは禁止事項のない遊び場で、木や小屋の屋根に登ったり、来た子どもたちの「やりたい」という気持ちを大切にしています。アクティブなことが好きな子もいれば、季節によって変わる虫や植物を観察するのが好きな子もいて、自分が興味を持ったことを思いっきりできる場所。遊びを通して子どもたち同士の関わりが生まれるのはもちろん、地域の人たちの触れ合いの場でもあるので、気軽に遊びに来てください!プレーパーク内では、自分たちでのこぎりを使って木を切ることもできる! 普段はできないことが、たくさん体験できます。ブランコは登るもの!?大きなすべり台は何回もやりたくなる撮影/上山 忍

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