熱中症は夏だけじゃない!特に幼児や小学生は要注意 幼少期の子どもは体温調整機能(特に汗をかく機能)が未発達であり、イオンバランスを行う腎臓の機能も未熟。また体内の水分量が大人よりも多いので、水分量の増減による体への負担も大きく影響し、熱中症になる確率が高くなります。 乳児は最も体の機能が未熟なので、特に高温の環境で長時間過ごすことは避けましょう。ベビーカーもアスファルトの照り返しをじかに受けるので、体温が上がりやすい状況であることを忘れずに。授乳中であれば水分補給は母乳で十分です。 自分で動けるようになった幼児や小学生は、親が思う以上に活動量が増えています。炎天下でも楽しさのあまり水分を取らずに遊び回り、知らず知らずのうちに熱中症になっていることが多く経験されます。まだ意思疎通がしっかりできない小さなお子さんだと、自らの体調の変化をうまく伝えられないことから、親が気づいたときには重症化していることも。 熱中症は普段元気で体力がある子どもでも、高温の環境下で脱水症状が進み体温調整がうまく働かなくなると、誰しもが起こり得る病気。しかも、熱中症の治療においては、根本的に治すことのできる薬はなく、出ている症状を軽減するための治療しかできません。ですから、まずは熱中症にならないよう、小まめに水分補給をし、適度に休憩させてあげるなど、親が子どもの様子をしっかり観察し、予防してあげることが一番の対策になるのです。知っておきたい子どもの熱中症予防と対策親の「気づき」が一番の予防になる!暑くなると気になるのが「熱中症」。近年は4~5月でも急に暑くなる日があり、もはや夏だけの病気ではなくなってきています。しかし、認知度は上がったものの、実際に熱中症についてきちんと理解している人は少ないのではないでしょうか。子どもたちを守るために、熱中症のことを保護者がしっかり把握しておきましょう。監修/大おおにし西志し麻ま先生国立成育医療研究センター・総合診療部 救急診療科 医員国立成育医療研究センター環境温度が高くなりすぎると、大量の汗とともに体内の塩分も失われ脱水症状が進行、体温調節をする機能がうまく働かなくなり、頭痛やめまいなどを起こす症状が熱中症です。重症度によってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度と分けられ、熱射病といわれるのは、最も重症なⅢ度を指します。熱中症とは142007年筑波大学医学専門学群卒業、東京都立広尾病院、東京医師アカデミー、国立成育医療研究センターを経て、日本医科大学千葉北総合病院・救命救急センターに勤務。2015年より再び国立成育医療研究センター勤務、日本救急医学会救急科専門医、小児科専門医の資格を取得し現在に至る。1児の母として子育てにも奮闘中。新生児や小児、妊産婦の病院と研究所が一体となった国内トップレベルの小児・周産期医療研究センター。こども救命センターとして24時間体制で小児患者を受け入れている。【アクセス】小田急線「祖師ヶ谷大蔵駅」下車、徒歩15分、「成城学園前駅」下車、バスで約10分https://www.ncchd.go.jp熱中症かな?と思う症状と対策親ができる子どもの熱中症予防目まい、立ちくらみ、筋肉痛などはあるが、意識はしっかりしている□ 小まめな水分補給□ 環境気温に合わせた体温調整□ 「少しぐらい」という油断は厳禁頭痛、吐き気、判断力の低下があり、少し意識状態がおかしい軽い熱中症になっている可能性があります。意識がしっかりしている状態であれば、涼しい場所に移動して安静にさせ、水分(経口補水液)補給をしてあげれば回復するでしょう。それでも目まいや頭痛が治まらない場合は、熱中症以外の可能性もあるので、病院へ連れていき診察してもらってください。経口補水液を小まめに与えるようにしましょう。脱水症状を回避するには血液中に水分を取り入れる必要があり、それには塩分と水分を一緒に摂取しなければなりません。水や麦茶には塩分が含まれていないので、経口補水液が飲めないお子さんには、塩を入れた水に少しレモンなどを絞ったり、休憩中に塩むすびと麦茶を一緒に与えたりしてみてください。また、ゼリータイプの経口補水液もおすすめです。近年は真夏以外でも猛暑になる日があったり、閉め切った体育館では外気より気温が高くなったりします。子どもがいる環境気温に合わせ、通気性のよい服を着させたり、外出時には帽子を被らせる、夜でも暑い日は空調を効かせるなどし、体温調整を行ってあげてください。車の中は、天気のいい日であればすぐに室温が上昇します。家の中でも空調が効いていなければ、熱中症になる可能性は十分あり得ます。ちょっと2~3分、これくらい大丈夫だろう、と子どもだけにしてしまうと最悪の事態を招くことも。油断せず、子どもを置いて離れることは絶対にやめましょう。普段より元気がなかったり、顔色が悪い、おかしな受け答えをするようであれば意識障害が出て、熱中症が重症化している恐れがあります。救急車を呼ぶか、すぐに病院に連れていきましょう。経口補水液を飲めそうなら飲ませてあげ、病院に着くまでも体表面を氷や濡れたタオルなどで冷やしてあげてください。ただし、熱中症の場合は解熱剤では効果はありません。体外から冷却し、体温を下げてあげることが大切です。12熱中症かな?と思う熱中症かな?と思う症状と対策casecase常に子どもの様子を気にかけて見守るそれが、一番の熱中症予防になるんです!
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