5子どもが小さいうちは、楽しくいろいろな運動に触れさせたい︱︱幼い頃はとても活発な子どもだったという杉山さん。体を動かすのが好きで、興味のあるスポーツには自ら「やりたい!」と手を挙げ、何にでも挑戦してきたのだそう。「記憶にはないのですが、生後10カ月くらいから母とベビースイミングに行ったのが始まりらしくて。その後は体操教室、フィギュアスケート、テニスと面白そうだと思ったスポーツは親に懇願してやらせてもらっていました。そういう中で特別な楽しさを感じられたのがテニスだったんです」︱︱テニス一筋の道を歩み始めてから引退するまで、その「楽しい!」という気持ちにはずっと支えられてきたのだとか。「毎日でもコートに行きたいくらいテニスが好きで好きで、プロになったのはその延長みたいなもの。だから大きな試合で体力的・心理的に厳しい局面があったときも『これは挑戦だ』と前向きに捉え、乗り越えることができたんだと思います。イヤイヤ何かをするのは苦しいものですが、好きなことなら楽しめるし、続けられる。テニスを通じて一生の友人もできました。今の私はスポーツに育ててもらったな、と思っています」︱︱現在、息子さんは4歳。杉山さんがテニスを始めたのと同じ年齢になりました。「ラケットは持たせているのですが、そんなに関心がないみたいで……(笑)。今はテニスよりもラグビーに興味津々のようなので、ラグビーボールを買って公園で投げっこをしています。私はプロ選手時代、本当にけがが少なかったのですが、それは幼少の頃に水泳や体操などさまざまな運動を体験したことが全身のバランスを育んでくれたからではないか、と考えているんですね。だから小さいうちはひとつの競技に特化せず、いろいろな運動に触れさせようと思っています。そこから本人が『楽しい! やりたい!』と思う何かが見つかればうれしいですよね」親子で一緒に体を動かしていると息子の性格がよくわかるように︱︱母になって、世の中の子どもたちが本当にかわいいと思えるようになったのだそう。「自分の子どもがかわいいのはもちろんですが、『子どもという存在自体が宝物なんだ』と気づかせてくれたのは息子からもらった贈り物ですよね。産後、授乳で眠れず、精神的に不安定になったとき『みんなこういう経験を乗り越えてきてるんだ』と世のお母さんたちに心から尊敬の念を覚えました」︱︱公園で一緒に体を動かす時間は、コミュニケーションを深めるだけでなく、息子さんの性格を理解するのにも役立っていると話す杉山さん。「うちの子は負けず嫌いで、一緒にかけっこをして少しでも私が勝つと、ウワーッと声を出すほど悔しがるんです。そこでギリギリ勝たないようにして自信をつけさせるのか、あえて私が勝って『なにくそ!』と思わせるのか、遊びながら、運動しながらも、親として息子が伸びる接し方を探る手段になるし、それが日常生活にも応用できるんですよ」︱︱厳しく教えるから能力が伸びるわけではない、と気づいたのは、杉山さんのお母さんから受けた影響も大きい。「プロの中には大人の厳しい指導で実力を伸ばしてきた選手もたくさんいます。しかしうちの母は、私がテニスで結果を出せず悩んでいるといつも『もともと家族で楽しくプレイできればいいね、って始めたことだからいいじゃない』と逃げ道を残してくれる人でした。打たれて這い上がる子どももいますが、心が折れてしまう子どももいます。自分の子どもでも、違う性格を持った一人の人間。一緒に遊ぶと、それがよくわかるところも楽しいんです」その子が楽しんで続けられるスポーツがきっと見つかるはず︱︱よいスポーツ環境との出会いも、子どもの力を伸ばす大切なポイント、と杉山さん。「私の場合は、小学2年生の頃に通っていたテニスクラブの仲間に恵まれたおかげで、練習に通うのが楽しかった、という要因も大きかったんですね。コーチ一人とっても、厳しい人、優しい人、面白おかしく指導してくれる人、さまざまです。どんなスポーツを習わせるかについ気持ちが行きがちですが、相性の合うスクールに出会うことも楽しく続けるためには大切なので、始める前にいくつかのスクールでトライアルをしてみると、お子さんの目がキラリと輝く場所があるのではないでしょうか」︱︱親子でスポーツを始めてみたいけど運動が苦手……という親御さんへのきっかけづくりへのアドバイスを伺ってみました。「まずはお弁当を作って公園に行くだけでよいので、親子で外に出る習慣をつくるとよいですね。また、市や区、企業主催の無料スポーツ体験イベントが各地で開催されているので、参加してみてはいかがでしょうか。球技が苦手でも、ボルダリングのように登って楽しめる運動もありますし、息切れするのが嫌なら、ボールのコントロールを競うボッチャなんかも面白いのでは。まずは親子で気軽に体験から始めてみると、『意外に面白い』と思える運動が何かしら見つかると思いますよ!」杉山 愛〈すぎやまあい〉:1975年7月5日生まれ。神奈川県出身。幼少の頃よりテニスを始め、15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位を獲得。17歳でプロに転向、グランドスラムでは女子ダブルスで3度の優勝を経験。五輪には4度出場、最高世界ランクはシングルス8位、ダブルス1位。Prole小田急はスポーツを通して沿線での生活に楽しみを創出します小田急電鉄では、開業100周年となる2027年度末までに、スポーツを通して子どもから大人まで楽しめるコンテンツを100個作るプロジェクトを進行中。例えば、小田急が協賛するFC町田ゼルビアの協力を得て開発したアプリ「ARUCLUB MACHIDA」では、歩くことでさまざまな特典が得られ、今年2月には、全ユーザーの総歩数が目標に達したことを記念して「特急ロマンスカー・ゼルビア号」を運行させました。プロジェクトの最新情報はHPで随時お届けするので、ぜひチェックしてみて!https://www.odakyu.jp/osec100/「OSEC100 ―Bound For Fun―」とは、Odakyu Sports Entertainment Contentsの頭文字から名付けられた新たなスポーツプロジェクト。2027年の小田急電鉄開業100周年に向け、スポーツ競技団体や地域、企業などとともにスポーツを通したさまざまな取り組みを推進していきます。
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