遊び2遊び39ハイハイやほふく前進で足の間をすり抜ける「トンネルくぐり」で、子どもの腹背筋力が養えます。乳児期にハイハイをしなかったと心配されている保護者も多いですが、幼児期にこれを行えば大丈夫! トンネルの幅や高さを変えることで、運動にバリエーションも生まれます。雑巾がけや蛇口をひねる水道が減ったことで、握力を使うことが少なくなっています。そこで、タオルで引っ張り合いをする遊びを通じて、子どもたちに物を握ったり引っ張ったりする力を養ってあげましょう。布団の上などで親子相撲をしてあげてください。倒されて転がって、また起き上がるという繰り返しで回転感覚が備わり、足腰も鍛えられます。さらに「諦めずに頑張る力」を培うことにもつながります。外遊びができないと諦めてはいけません。家の中でできる、子どもの﹁調整力」を伸ばす遊びはいくらでもあります。毎日少しの時間でもいいので、取り入れてみてはいかがでしょう。できなくても大丈夫! 焦らず、長い目とまるい心で子どもが運動を好きになる気持ちを育てましょうあなたは子どもの運動能力についての心配事、いくつありますか?できなくても大丈夫! 焦らず、長い目とまるい心運動能力についての心配事、いくつありますか?子どもが運動を好きになる 上記のような心配事をはじめ、保護者からよく言われるのが「うちの子はまだ◯◯ができないので、なんとかしてください」という相談。そこで私は「焦らない、ほかの子どもと比較しないでくださいね」と答えます。なぜなら、運動の基本である敏びん捷しょう性、平へい衡こう性、※巧こう緻ち性などの「調整力」は、年長~小学校低学年が一番成長する時期でもあり、この時期に運動神経がいい悪いという判断はできません。ですから、上の心配事チェックがたくさんついても悲観しないでくださいね! 今の子どもは外遊びや歩く量が減ったことから、「調整力」を伸ばすだけの運動量が賄えていないのが現状。それなのに、いきなり技術を教え込んでも大きなけがをしたり、できないことから子どもを運動嫌いにさせる要因にもなりかねません。そもそも「調整力」は、体を動かす基本となるだけでなく、成長していく上で必要な「自己安全管理能力」を養うためのものなんです。 例えば、逆上がりは回転することで三半規管が鍛えられ、転んだときに身を守り大けがを回避することにつながります。つまり、逆上がりができることが最終目的ではなく、親が補助をしてでも回る感覚を身に付けてあげることが重要なのです。親とスキンシップをとりながら運動することは、子どもにとってとてもうれしいこと。成功する経験も大切ですが、それらの過程で体を動かすことが楽しいと感じさせてあげることが、子どもの「調整力」を伸ばしてあげるきっかけにもなるのです。※巧緻性とは 切る、折る、貼るなど指先を巧みに使う能力で、この指先の刺激が子どもの脳への刺激にもつながっている。わが子の運動能力をチェック!「運動神経がなさそう」「あまり運動していないかも」うちの子は大丈夫!?1日5分でOK!遊び1自分の子どもは運動神経がないからと、親の勝手な判断で子どもを運動から遠ざけていませんか? 親の考え方、接し方一つで、子どもの運動能力はまだまだ発達するのです。□ スキップができない □ 逆上がりがなかなか上達しない□ 年長になったのに人や物によくぶつかる □ リズムをとって体を動かすのが苦手そう□ 高い所へ登れない、登ったことがない □ 乳児期にあまりハイハイしなかった□ ブランコを自分でこげない監修/澤さわ井い雅まさ志し先生運動遊び・体つくり運動(体操)講師日本体育大学体育学部体育学科卒業後、日本体育大学運動方法体操研究室兼任講師のほか、運動遊び・体つくり運動(体操)指導者として全国各地の保育園、幼稚園、大学などで乳幼児や親子の遊び指導を行っている。トンネルくぐりタオルでつな引き親子相撲家庭で取り組める簡単・体幹遊び
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