環境に対するさまざまな取り組み

複々線化事業と連続立体交差事業ではさまざまな環境対策を行っています。

実績

小田急では、事業活動に伴う環境への影響をより一層低減するため、さまざまな取り組みを継続的に推進しています。その一つとして、列車が走行する際の音や振動を低減するため、線路や車両の改良を実施しています。複々線・連続立体交差事業区間内においてもレールの継ぎ目を少なくしたり、高架橋部分に防音壁・吸音パネルを設置するなど、周辺の環境に配慮したさまざまな施策を講じています。

現在、新幹線を除く鉄道の騒音に関する環境基準は、法的には設けられていませんが、1995年に環境庁(現環境省)より指針が出されており、複々線化のように大規模な鉄道施設の改良を実施する場合は、「騒音レベルの状況を改良前より改善すること」とされています。

すでに複々線化・連続立体交差化が完成している世田谷代田〜和泉多摩川間では、さまざまな施策を実施した結果、事業開始前に比べて列車の走行音が大幅に低減しています(表1)。

表1:列車走行音の変化(世田谷代田〜喜多見間)(単位:デシベル)
測定地点ピーク騒音レベル等価騒音レベル
高架橋端から12.5m
地上高さ1.2m
最寄り軌道中心から12.5m
地上高さ1.2m
着工前現在増減着工前現在増減
世田谷区経堂1丁目8566-19(73)54-19
世田谷区経堂4丁目9069-21(79)57-22
  • ※( )内の着工前における等価騒音レベルは、いずれも「在来鉄道の新設または大規模改良に際しての騒音対策の指針について」(1995年12月20日 環境庁)で示されている式を用いてピーク騒音レベルから換算した値

軌道構造の改良

レールの下に敷いてある砂利(バラスト)には、列車の荷重を支えるだけでなく、列車が走行する際の音や振動を少なくする働きがあります。複々線化事業区間の高架橋部分では、この砂利と高架橋の間に、防音・防振効果の高いバラストマットを敷設しています。また、音や振動の発生源となるレールの継ぎ目が少ないロングレールを敷設しているほか、剛性が高い60kg/mレールを導入しています。

さらに、2004年11月に工事が完成した世田谷代田〜喜多見間では、従来のバラスト軌道よりも防音・防振効果が高く、かつ重機械を使った夜間の保守作業の回数を削減できる構造(弾性マクラギ砕石軌道)を採用するなど、より一層の防音・防振対策を実施しています。

防音壁・吸音パネルの設置

列車の走行音を低減するため、コンクリート構造の高架橋に防音壁を設置していますが、その効果をより一層高めるため、複々線化事業区間内にある高架橋の防音壁に吸音パネルを設置しています。

また、2004年11月に工事が完成した世田谷代田〜喜多見間では、吸音パネルに加えて干渉型防音装置を設置し、より一層列車走行音の低減に努めています。

車両の低騒音化の推進

列車が走行する際、加速・減速を繰り返すことによって車輪の表面に平面状の損傷や凹凸ができることがあり、それが音や振動を増大させる要因になります。そこで小田急では、この凹凸を自動的に検知する装置(車輪フラット検出装置)を設置し、各車両の車輪表面の状態を把握するとともに、車輪の表面を削り平滑にする装置を使って計画的に車輪の削正を行っています。さらに、車輪表面に損傷や凹凸が発生することを防ぐため、一部の車両にABS(アンチロックブレーキシステム)を導入しています。

そのほかにも、非常時以外に使用する警報音をやわらかな電子音にするため、従来の警笛に加えて電子式の警笛をすべての車両に設置したほか、ブレーキや扉を操作するために必要な圧縮空気を作るコンプレッサーなどの機器についても、低騒音型のものを導入しています。

小田急では、このほかにもさまざまな施策を実施していますが、今後も最新の技術を積極的に採用し、列車の走行音や振動の低減に努めてまいります。