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息づく自然とともにある
稀有な観光地
箱根にいっそうの
エンターテインメントを

小田急箱根 堀口さん、勝俣さんイメージ

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2024年の入込観光客数が2,000万人を超えた国内有数の観光地・箱根。四季折々の自然や温泉をはじめ豊富な観光資源に恵まれる一方で、活火山である箱根山を擁する稀有な観光地でもあります。

この箱根で、観光の足となる箱根ロープウェイや箱根登山ケーブルカー、そして芦ノ湖で運航する箱根海賊船などを運営するのが㈱小田急箱根です。今回は箱根海賊船の運航を担当する船舶部の堀口祐孝さん、箱根ロープウェイの運行を担当する索道部の勝俣武仁さんに、箱根の自然の恩恵にあずかりながら、リスクと向き合い、より魅力ある観光地にしていくための挑戦や取り組みについて聞きました。

インバウンド需要が活況。来訪者の分散もカギに

箱根山内を舞台とした観光は、コロナ禍によって落ち込む時期はあったものの、現在は国内外からの来訪者もコロナ禍以前の水準に戻ってきたと言います。

(堀口)インバウンドのお客さまの増加は特に顕著です。首都圏からのアクセスもよく、富士山と箱根がセットになった日帰りバスツアーも企画されており、海賊船の需要も伸びていますね。特に春先や秋口といった観光シーズンには訪れる方も増えますし、また春節の時期などには東アジアからのお客さまの利用が集中することもあります。

堀口さんのイメージ

(勝俣)ロープウェイも海賊船と同じ観光路線であるため、需要が高まる時期は共通しています。一方で1日の中の繁閑に目を向けると、早朝などの混雑しにくい時間帯と混み合う時間帯の差が大きいので、お客さまに分散してご利用いただけるような予約システムの導入や、ロープウェイの駅整備を進め、待ち時間を減らす工夫を続けています。

大涌谷など、今もなお地球のエネルギーを間近で感じられる稀有な観光地でもある箱根エリア。他の観光地への優位性はありながらも、特有の課題も抱えていると言います。

(勝俣)コロナ禍のような世界的な危機、地震や台風などの自然災害に加え、私たちの事業エリアでは箱根山の火山活動の活発化に伴う立ち入り規制により、ときには運行の取り止めや事業をストップせざるを得ない状況もありました。非日常の体験を楽しんでいただく観光業ですが、安全を第一にした運営は基本ですから、不測の事態にどう備えるか、安全面へのさらなる投資も今後の課題として捉えています。

勝俣さんのイメージ

箱根のエンタメ性を高める地域との協業

箱根は「富士箱根伊豆国立公園」に指定されている重要な自然地域。その自然環境を守りながら魅力発信をしていくためには、各事業者や組織間で連携しながら魅力発信に取り組む必要があります。小田急箱根でも、訪れる人に安心して楽しんでもらえるよう、地域の事業者やステークホルダーとのつながりを重視しています。

(勝俣)箱根エリアの事業者や地域の方、観光協会などの団体と連携しながら”共存共栄”の体現を目指しています。私たちはゴールデンコースに代表されるような網羅的な交通ネットワークを有していますが、例えば訪れた先で楽しめるグルメやアクティビティなどは、他の事業者や個人店の方々が担ってくださっているところがとても大きいんです。だからこそ、自社だけでは成り立たないものだと考えています。

電車のイメージ
ロープウェイのイメージ
海賊船のイメージ
ケーブルカーのイメージ
箱根ゴールデンコースでは、電車やバス、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船を乗り継ぎながら、箱根の自然や観光スポットをめぐることができる

(堀口)2024年には芦ノ湖で「箱根海賊船」が就航して60周年を迎えました。その記念イベントとして、地元の観光協会や連絡協議会に打ち上げ花火の企画を持ち込み、主催は観光協会にお願いし、私たちもそこに参加するという形で一緒に取り組んだ経緯があります。こうした企画も、自社単独では実現できませんし、協議会の方からも「芦ノ湖で長く事業を行っている小田急箱根だから」と前向きに検討いただけたことは印象に残っています。

海賊船60周年記念イベントの海賊船のイメージ
海賊船60周年記念イベントの花火クルーズのイメージ
地域との連携で開催した海賊船60周年記念イベントでは、海賊船の船上からダイナミックな花火を観賞できる花火クルーズも企画

何度でも訪れたくなる唯一無二の観光地を目指して

訪れる人から「選ばれ続ける」観光地であるために、2025年4月には海賊船「ビクトリー」の特別船室をリニューアル。さらに、ロープウェイ大涌谷駅に新たな展望エリア「ちきゅうの谷」を開業し、魅力の再発見や掘り起こしにも取り組んでいます。

(堀口)芦ノ湖で就航している3隻の船のうち、「ビクトリー」は就航から18年が経過したタイミングです。何度も訪れていただく楽しみの一つとして特別船室のリニューアルを行いました。期間が空いての再訪という方も多いのですが「キレイになった」「豪華な船室で楽しい!」といった声もいただいており、特別船室の利用率も前年比で上昇しています。

「ビクトリー」の特別船室のイメージ
リニューアルした「ビクトリー」の特別船室

(勝俣)ロープウェイでも、2020年の早雲山の駅舎改修に続いて大涌谷駅でも整備を行い、ロープウェイと沿線を一体的に楽しんでいただくための魅力アップを進めています。大涌谷では、黒たまごのモニュメントなどはフォトスポットとしても有名ですが、荒涼な岩肌や、噴気をより間近に感じながら景色を楽しんでいただける「息吹のデッキ」などを新設しました。大涌谷は乗換駅でもあるので、待ち時間をただ過ごすだけでなく、食事をしたり、散策したりと「滞在できる」お客さまの動線設計をしています。

ちきゅうの谷「息吹のデッキ」のイメージ
大涌谷を望む、ちきゅうの谷「息吹のデッキ」

箱根を繰り返し訪れる人を増やしたいという思いは二人に共通のもの。どのような思いをもって日々の業務に向き合っているのか、箱根の魅力をどのように届けようとしているのかについても聞いてみました。

(勝俣)箱根には登山電車やケーブルカー、ロープウェイ、海賊船など多彩な交通網があり、ここでしかできない体験がそれぞれに備わっています。それらをお客さまに楽しんでいただきながら自然に全てのルートをつなげていくことで、各地域で活動する事業者の方々も活性化すると考えていますし、その一翼を担っているという自負があります。私は箱根町の出身ですが、周囲からも箱根山内の変化について好意的な声をよく聞きますし、訪れる人や事業者だけでなく、そこに住む人からも愛されるまちであればうれしいですね。

(堀口)いつ訪れても楽しめる箱根であるために、ハードとソフトの両軸で、常に質をブラッシュアップし続けることが私たちの使命だと考えています。「今日はゴールデンコースを回ろう」とか「今日は温泉に入りたいな」とか、いろんな楽しみ方ができるのが箱根の魅力の一つでもあるので、そこに寄り添う存在として小田急箱根があり、訪れるたびにその良さを感じていただけるような場を提供していきたいです。

箱根で長く親しまれてきた観光資源を、これから先も愛してもらえるように。安全・安心への配慮を第一に、訪れる人がまた来たくなる、唯一無二の箱根での観光を支える存在として、小田急箱根の取り組みは続きます。

※内容は取材時のものです。

INTERVIEWEE

㈱小田急箱根
運輸本部 船舶部 
課長 堀口 祐孝

運輸本部 索道部 
課長代理 勝俣 武仁

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