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アップサイクルという
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小田急線の通勤車両(8000形)から取り外されたつり革を生かしたバッグイメージ

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役割を終え廃車となった鉄道車両は、その車両に使われている金属類がリサイクルされるなどさまざまな形で再活用されています。そうした中、小田急線をはじめとした鉄道の電気設備や線路設備の保守、車両整備などを担う㈱小田急エンジニアリングでは、廃車となった車両の部品を商品化するいわゆる「アップサイクル」に取り組んでいます。廃棄物の削減を通じた環境負荷の低減、そして新たな付加価値の創出によるファンづくりとは。

鉄道ファンに人気の「鉄道レトロ部品」とは

小田急エンジニアリングは、鉄道車両から電気設備、線路設備などの整備、施工、維持・管理などを行い、多方面で鉄道の安全を技術で支えている会社です。その技術を生かして、2011年からSDGsへの新たな取り組みとして、廃車となった車両の部品やリメイク商品を販売するレトロ部品事業をスタートしました。

ただ捨ててしまうのではもったいない。そんな思いから、同社では号車プレートや運転台、案内板など、貴重な部品は廃棄せずに保管していました。それらをお客さまに喜ばれる形で生かそうと考え、事業化に踏み切りました。その後、2021年11月には初めてとなる販売会を相模大野ステーションスクエアで実施。すると、鉄道ファンを中心に話題となりました。

号車プレートなどイメージ
廃車車両には号車プレートなどアイデア次第の貴重なものが眠っている

小田急エンジニアリング 車両部の細野光司さんは、次のように話します。
「現在、商品は鉄道ファン向けの店舗での常時販売に加え、評判を呼んでイベントなどで出張販売する機会も増えました。抽選販売を行うときは倍率が平均10倍程度で、人気の商品は50倍近くになるときもあります」

アップサイクルで廃棄物に価値をプラス

さらに、部品をそのまま販売するだけでなく、加工して時計やブックスタンドなど普段使いできる商品の開発にも取り組んでいます。これが、廃棄されるはずだったものに新たな価値を与えて再生する「アップサイクル」です。リサイクルとの大きな違いは、廃棄品を原料に戻すといったエネルギーを必要としない点。デザインやアイデアによって製品をグレードアップさせ、お客さまにお届けしています。

2023年からはアップサイクル事業を展開するパートナー企業に部品を提供し、鉄道ファンにとどまらず幅広い方々に好まれる商品開発を行っています。例えば、本物のつり革に使われる素材を生かしたミニチュアキーホルダーや、小田急線の通勤車両(8000形)から取り外されたつり革を生かしたバッグなども生まれました。これらは、より多くの方に小田急を知ってもらうきっかけにもなっています。

アップサイクルブランドを手がけるサンワード㈱と鉄道タレントとのコラボ商品イメージ
アップサイクルブランドを手がけるサンワード㈱と鉄道タレントとのコラボ商品

魅力ある商品でファンづくりに貢献

こうした商品開発を支えているのが、同社車両部の「技術力」です。加工する製品は、その技術を生かして実際の車両に使用されている塗料で仕上げています。車両と同じリアルな色合いは、コアな鉄道ファンだけでなくお子さまにまで幅広く喜ばれています。また、アイデアも凝らし、100円や500円などの価格帯で販売する「レトロ部品ガチャガチャ」はイベントなどで予想を超える大反響を呼んでいます。

レトロ部品ガチャガチャイメージ
イベントなどで人気の「レトロ部品ガチャガチャ」

「お客さまからは『いつもよく考えて作りますね』『斬新なアイデアでおもしろいですね』という声も多く寄せられています。常連やコレクターの方も多く、お客さまとのコミュニケーションにも役立っています。これからもマニア心をくすぐる廃車部品販売を継続しつつ、廃車部品を加工して小さなお子さまや女性にも喜んでいただける商品をつくっていきたいですね」(細野さん)

環境負荷低減を実現しながら、小田急ファンづくりに励む小田急エンジニアリング。主軸の事業にとどまらず、新たな領域に踏み込んでいく同社のチャレンジに今後も注目です。

※内容は取材時のものです。

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