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HAKONATUREの自然体験イメージ

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電車、バス、ケーブルカー、ロープウェイ、観光船と、これまで多種多様な交通網を整備し箱根を周遊するゴールデンコース(※)をプロデュースしてきた小田急。その小田急が、箱根の新たな過ごし方として着目したのが「自然体験」です。

箱根山内には登山道が点在。木の葉がはためく心地いい音、清流の水面に跳ねるきらびやかな光。地元の人や自然好きな人だからこそ知っている箱根の豊かさを、訪れる人と分かち合うことで、いっそう箱根を好きになってもらいたいという思いがあります。

その思いを行動に移すプロジェクト「HAKONATURE」(ハコネイチャー)を企画、運営する鈴木真理子さんと奥村元基さんに、「箱根×自然体験」への思いと、どのような活動をしているのか話を聞きました。

※箱根ゴールデンコース…小田原・箱根湯本を起点に箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根海賊船、箱根登山バスで箱根の観光地を巡る定番周遊ルート。

箱根の魅力を振り返り、「自然体験」を切り口に

既に多くの人でにぎわう人気観光地の箱根で、なぜ新たに「自然体験」にフォーカスしたのか。開発からエリアマネジメントまで担当するエリア事業創造部に所属する鈴木真理子さんは、「構想自体は数年前からありましたが、コロナ禍によって人々の暮らし方に変化が起こり、山や海といった自然との関わりに注目する人が増えたことがきっかけでした」と話します。

箱根は小田急が交通網を整備してきた日本有数の温泉地ですが、それもたどれば、豊かな自然あってこその恵みです。それに着目し、箱根の自然の豊かさを知り、その良さを分かち合う取り組みとしてHAKONATUREプロジェクトはスタートしました。

鈴木さん自身、このプロジェクトを通じて、観光資源にとどまらない箱根の魅力に気づかされたといいます。

鈴木さんイメージ

「箱根に何度も訪れていますが、公共交通を使って周遊することがほとんどで、箱根の自然の中を歩いたことはありませんでした。温泉街でさえ、歩いて楽しむことを意識していなかったと思います。箱根には30以上のトレイルコース(登山道)があることも初めて知り、都心の新宿から1時間半で来られる場所に、こんなに自然に触れられる場所があるなんてと驚くと同時に、実際に足を踏み入れてみると、自然の表情の豊かさに目を奪われました」

箱根のトレイルコース(登山道)イメージ

プロジェクトスタート後、頻繁に箱根に足を運び、さまざまな活動を通じて地域事業者との関係づくりにも取り組んでいるのは奥村元基さん。箱根の人々の魅力を教えてくれました。

奥村さんイメージ

「箱根のまちを実際に歩いてみると、あまり観光客は訪れないけれど地域の人に愛されるお店など、箱根の人々の暮らしにも目が向くようになりました。それに、東海道の宿場町として発展してきた背景も手伝ってか、外から訪れる人にも親切なんです。常連を多く抱えている宿やお店も多く、そんな人を『おかえり』と迎えてくれるような、繰り返し訪れたくなるまちの魅力に癒されました」

プロジェクトに共感する人が集う拠点をつくる

HAKONATUREプロジェクトとして地域の人や専門家と会話する中で、活動拠点をつくることで、箱根の自然が好きな人、それをもっと活用したい人、大切に守っていきたい人とつながることができるのではないかと考えました。例えば、地元ガイドによるネイチャーツアーやトレッキング、アウトドアのプロによるファミリー向けのデイキャンプ体験、登山道整備ツアーといった、新たな箱根の自然の楽しみ方を共創することで、その輪を広げていけないかという思いが芽生えます。

それが、箱根湯本駅からちょっと坂を上がったところにある「HAKONATURE BASE」(ハコネイチャーベース)です。

「HAKONATURE BASE」(ハコネイチャーベース)イメージ

2023年4月にオープンし、HAKONATUREプロジェクトの活動拠点として、登山やアウトドア関連のアイテムを扱う店舗のほか、シャワーブースやカフェラウンジなどの施設を備えています。

「HAKONATURE BASE」(ハコネイチャーベース)施設イメージ

HAKONATURE BASEの1階には、アウトドアブランド「THE NORTH FACE」のショップがあり、アウトドアギアなどが並びますが、店員は「自然体験」のプレイヤーでもあります。箱根というフィールドを生かしてアウトドアカルチャーを盛り上げたい、子どもたちにも自然体験を提供したいという思いで、デイキャンプイベントなどを実施しています。

HAKONATUREプロジェクトは箱根や箱根の自然を愛する人たちをつなぎ、自然の中での過ごし方を共創することで、さまざまにその輪を広げていきます。デイキャンプの指導などを行う一般財団法人 自然公園財団箱根支部の築紫宗太さんは、こう話します。

「活動柄、『自然に親しむ第一歩』をお伝えしたいと思っています。自然だけではありませんが、物というのは、その希少価値ばかりに目を向けられがちです。ですが、身近な物の遊び方や薬効などの有用性を感じて初めて、その希少価値に気づけるのだと思います。『大切な物は身近にある』ことを分かち合う機会が、参加された方々の思い出に残るとうれしいですね。小田急沿線にお住まいの方々に対して、箱根が身近な自然体験フィールドとなることを願っています」

デイキャンプイベントイメージ

築紫さんもHAKONATUREプロジェクトに一緒に取り組む仲間の一人。「箱根には国立公園という側面もありますが、そんな一面をまだ知らない方にも『自然へ親しむ第一歩』をお伝えできることがうれしいですね」と続けます。
開催されたイベントには多くの沿線住民が参加。初めて山に入るという人も少なくなく、反響も大きいといいます。

まちにくらす人、まちで働く人、まちに訪れる人をつなぐ

「ここ、HAKONATURE BASEを拠点に、箱根ならではの自然の中での過ごし方を地域内外の方と一緒につくっています」とは奥村さん。
HAKONATUREプロジェクトでの、自然体験を通した箱根の魅力発信と、地域やパートナーとの共創のアイデアは尽きることがありません。

「箱根には温泉やアートなど、多様な楽しみ方があるので、HAKONATUREの『自然』との掛け合わせでコラボもしやすいのではと思います。そのうえで、小田急として大切にしていきたいのは、地域の魅力を地域の人から教えてもらうようなコンテンツづくり。あくまでも主体は地域の方やパートナーシップを結んでいる事業者の方たちで、私たちは沿線住民の方への広報や交通網を生かしてサポートする、地域と沿線の“ハブ”のような役割を果たしていければと思っています」と鈴木さんも返します。

奥村さん、鈴木さんイメージ

奥村さんからは、自然を通して箱根を見つめた先にある「箱根の暮らし」を感じてもらいたいという思いも。

「短期滞在でモデルコースを回って帰るという過ごし方よりも、繰り返し訪れたり、長く滞在して地元の人が行くお店を訪れたり、その人たちと親しくなったりと、まちに溶け込むことで地域の暮らしや歴史、文化を感じる“滞在型”の過ごし方に注目しています。そのためにも地元の方向けのイベントやワークショップを開催するなど、地域との関係づくりにも注力していますし、地域の暮らしをより豊かなものにすることで、箱根を愛してくれる人の輪が広がっていくとうれしいなと思います」

イメージ

歓楽街や観光スポットには、多くの人が集まります。一方で、過度な人のにぎわいは楽しみを損ね、ストレスになることもあります。だからといって、好きな場所が嫌いになるのはもったいない。ちょっと視点を変えることで、新しい魅力に気づき、改めて好きになり、ずっと大切にしたいと思う。そんな地域や人とのかかわり方を、HAKONATUREプロジェクトは「自然体験」を通してつくろうとしているのだと思います。自然を切り口に、箱根の新たな過ごし方を体験してみませんか?

※内容は取材時のものです。

INTERVIEWEE

小田急電鉄㈱
エリア事業創造部 課長代理 鈴木 真理子
同        奥村 元基

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