2016年度につきましては、「安全に関する中期経営計画【2015~2017年度】」に定めている「安全重点施策」に基づき、取り組みを進めてきました。また、小田急グループ内の交通事業者全体の体制強化にも取り組みました。

安全管理体制の整備、推進と組織レベルでの安全文化の醸成に努めました。

「情報の共有」をテーマに、経営層から現業職場間の、双方向の情報伝達ルートを確立し、取り組んでいます。これにより、安全に関するさまざまな取り組みについての目的意識・理解が共有され、職場間の連携強化を図ることで安全管理体制の推進につながっています。

安全キーワード:運輸安全マネジメント制度

「運輸安全マネジメント制度」とは、鉄道などの交通事業者において、経営トップから現業職場の係員まで一丸となって、安全管理体制を構築し、その継続的な取り組みを行うとともに、事業者が構築した安全管理体制を国が評価することで、安全風土の構築、安全意識の浸透を図るという仕組みのことです。

部門横断的な情報伝達と共有、事故、ヒヤリ・ハット情報等の収集・活用を進めるために、 「安全コミュニケーショシステム」を運用しています。

このシステムは、社員の声や事故情報を一元的に管理し、部門横断的に共有できるもので、これにより「ヒヤリ・ハット」や「気づき・気がかり」などの社員の声が、安全にかかわる部門の所属員なら誰でも閲覧・共有できるようになったほか、一元的に集められた情報を誰でも分析できる環境となりました。現在、定期的に支障状況(安全・安定輸送の阻害要因の発生傾向など)をまとめ、安全にかかわる全部門で共有しているほか、安全・安定の努力目標を定め、システムに蓄積されたデータの実績値を職場に示し、支障時分の短縮などお客さまに与える影響を最小限に抑えるべく、取り組んでいます。

今後も「体制」と「ツール」を有機的に結び付け、事故・トラブルなどにかかわる情報や鉄道係員の意見などについて、「情報収集→共有→分析→対策の検討→実施→対策の有効性検証」を実践し、安全対策の強化に努めるとともに、安全コミュニケーションシステムをさらに有効活用するための検証を行っていきます。

安全コミュニケーションシステム(「ヒヤリ・ハット/気づき・気がかり」情報の展開イメージ)

[図]

グループワイドで安全管理体制の強化に取り組んでいます。

電車やバス、タクシーなど乗り物は違いますが、同じ「安全」を最大の使命とする交通事業者間で情報・意見交換を行うことは、とても有効です。そこで、2008年度より毎年、小田急グループの交通事業者各社(鉄道、バス、タクシー、索道、船舶)の安全統括管理者ならびに運転管理者などが出席して、各社の安全マネジメントに関する取り組みの発表や情報交換などを行う「小田急グループ交通事業者安全統括管理者会議」を開催しています。

各交通事業者からのニーズを踏まえ、「交通モード別での分科会」活動や、「交通モード別による合同講演会」などを実施しました。これらの活動を通じて、小田急グループ交通事業者全体の安全管理体制の強化を推進していきます。

以下、安全重点施策の4項目に沿って、2016年度の主な取り組みを紹介します。

概略

強靭かつ柔軟な「現場力」の構築

「未然防止」に対する取り組みの強化

「災害」に強い設備・体制の構築

「安定輸送」を実現する取り組みの推進

お客さまに安全と安心を(安全報告書2017)