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2050年、CO2排出量実質ゼロを目指して
2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、現在さまざまな分野で取り組みが進んでいます。特に、小田急グループの主力事業である交通領域においては、鉄道への再生可能エネルギー(以下、再エネ)由来の電力やEVバスの導入などに取り組んでいます。
2021年9月には、「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定し、2050年までに事業で排出されるCO2排出量を実質ゼロにするという目標を掲げました。
CO2排出量の削減に向けては、「へらそう作戦(省エネ)」「かえよう作戦(電化・水素化)」「つくろう作戦(再エネ)」をスローガンに、アクションを推進しています。こうした取り組みを通じて、2030年までにCO2排出量50%減(2013年度比)を目指し、小田急グループの脱炭素を加速させていきます。
小田急グループCO2排出量の推移
※Scope1…事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
※Scope2…他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※万t-CO2未満(小数点以下)は四捨五入
100%再エネ由来の電力で運行!
鉄道は他の交通機関と比較してエネルギー効率が高く、一般的に環境負荷の低い乗り物とされています。
一方で、電車を動かすエネルギー源となる電力も、現在も一定の割合を火力由来が占めているということから、再エネへの切り替えなどが求められてきました。
そこで、小田急グループでは鉄道をはじめとした公共交通を、より環境にやさしい乗り物としてお客さまに選択していただく機会を増やすため、2024年4月から、小田急線、箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、江ノ電、大山ケーブルカーで、運行に使用するすべての電力(※)を実質的に再エネ由来のものにしています。この新たな取り組みによって、CO2排出量の実質ゼロを実現しました。
※運転用の電力をはじめ、駅や信号機、踏切など列車運行のために使用する全電力

100%再エネ由来の電力で運行する区間は合計151.5kmで、小田急線・箱根登山線では特急ロマンスカーも100%再エネ由来の電力で運行しています。
CO2排出量実質ゼロで運行する区間
年間CO2排出量約13万tが実質ゼロとなる「再エネ由来の電力」とは、太陽光や風力、水力といった再エネで発電した電気が供給される「FIT非化石証書」「グリーン電力証書」(※)の導入によるもの。こうした動きは近年、大手企業などを中心に高まっています。
※「グリーン電力証書システム」とは、自然エネルギーにより発電された電気の環境付加価値を取引する仕組みのこと。CO2排出抑制といった付加価値を、電力と切り離して「グリーン電力証書」という形で購入し、使用している電気と組み合わせることで、環境にやさしい価値を持つグリーン電力を使用しているとみなすことができる
CO2排出量実質ゼロで運行する区間の年間CO2排出量(2023年度)
年間CO2排出量
※一般家庭 約5万2,000世帯分の排出量に相当

※大山観光電鉄(大山ケーブル)は非連結であるため集計に含まない
小田急グループの交通領域における2023年度の単位輸送量当たりのCO2排出量(1人を1km運ぶときに排出されるCO2排出量)は、12g-CO2/人kmです。自動車輸送と比較して、年間121万tのCO2排出を回避していることになっているのです。
旅客輸送機関別 単位輸送量当たりのCO2排出量
※「旅客の鉄道利用に係るCO2排出量の算定ガイドライン(国土交通省 鉄道脱炭素官民連携プラットフォーム 利用促進・見える化WG)」に基づき削減貢献量を算定
EVバスへの切り替え、進行中!
バス事業でも、ディーゼルバスが走行中に排出するCO2削減に向けた動きがあります。
EVバスは走行時にCO2を排出しないだけでなく、使用する電力発電時のCO2排出量についても、ディーゼルバス走行時の排出量よりも大きく抑えることができるため、ディーゼルバスをEVバスに置き換えることで環境負荷の低減につながります。
現在、小田急グループではグループ全体で国内最大規模の約3,500台のバスを保有していますが、このうちの約500台について、2030年までにEVバス(電動バス)へ切り替える取り組みを進めています。
すでに、小田急バスのほか、神奈川中央交通、立川バス、江ノ電バスでは導入がスタートしており、今後は段階的に導入台数を増やしていく予定です。

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」達成のため、EVバスの導入は不可欠だと考えています。EVバスは環境への配慮だけでなく、静粛性が非常に高く、乗り心地も兼ね合わせています。地域の皆さまにもEVバスについてもっと知っていただき、「ぜひ、乗りたい」という声が増えれば嬉しいです。
公共交通の利用促進は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて重要な役割を担っています。再エネをはじめとしたクリーンなエネルギーへの転換をより一層進め、引き続き、環境負荷の低減に貢献していきます。
小田急バス㈱
バス事業本部 営業部営業担当 課長
木村 友彦さん