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観光を通じて地域に貢献する
消費者を巻き込んだ
新しい旅の形

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コロナ禍が明け、観光地には以前の賑わいが戻ってきました。箱根をはじめ、小田急沿線の観光地にも国内外から多くのお客さまが訪れています。一方、特定の観光地に多くの来訪者が集まることでオーバーツーリズム(観光公害)などの環境課題も取りざたされています。

今回は、小田急が取り組む地球環境や地域への負荷を抑える「持続可能な観光」をテーマに、環境戦略を担当する白木裕子さん、観光施策を担当する関隆宏さんに話を聞きました。

昨今の社会の変化と小田急

(白木)「カーボンニュートラル」という言葉も広く浸透してきましたが、小田急の環境戦略を担う立場として、事業活動を通じたCO2排出量の削減はもはや常識であると実感しています。そして、2050年にカーボンニュートラルを実現するには、私たち一人ひとりの意識の変化とアクションが欠かせませんが、エネルギーや資源の使用を減らす行動に加えて、最近は日用品を購入する際、環境や人権に配慮した商品を購入する人が増えていると実感していますし、環境負荷の低減に貢献したいと考える人は着実に増えていると捉えています。

白木さんイメージ

(関)私の場合、2019年のヨーロッパ出張で感じたのは、そこで暮らす人々の環境に対する意識の高さでした。欧米ではサステナブル(持続可能)やレスポンシブル(責任)への意識が非常に高く、現地での買い物などを通じてそのことを実感しました。と同時に、こうした意識を日本でも浸透させるために、小田急が果たせる役割はないかと強く考えるようになりました。

小田急沿線地域の環境問題

(関)台風や集中豪雨といった自然災害による影響は年々高まっています。記憶に新しいところでは、2019年の台風19号の影響による土砂崩落によって箱根登山電車(箱根湯本駅~強羅駅)が長期間の運休を余儀なくされたほか、芦ノ湖の水位上昇による船の発着場の浸水などにより大きな被害を受けました。
観光地では、自然災害のほか、オーバーツーリズムや観光マナーの問題も見逃せません。特に箱根町では、人口約1万人規模の町に年間約2,000万人もの観光客が訪れることで、さまざまな問題が顕在化しています。例えば、地域インフラのキャパシティを大きく超えて、ごみ処理や下水処理、救急出動が生じるといった「くらし」への影響が課題となっています。また、観光価値という観点では、人口減少などに伴う伝統行事の担い手不足をどう解決するかといった問題もあります。

関さんイメージ

「観光」を通じて地域に貢献できることは何か

(白木)小田急は、カーボンオフセットには以前から取り組んできました。2008年にはグリーン電力を使って特急ロマンスカー・VSE(50000形)を運行、箱根エリアの周遊に便利なカーボンオフセット商品「箱根旧街道・1号線きっぷ」を国内で初めて取り扱ったほか、ホテルや商業施設などで個別に取り組みを進めてきましたが、今の時代により必要なものとして、2021年9月に「小田急グループ カーボンニュートラル2050(odakyu carbon neutral 2050)」を発表しました。
これは、2050年にグループ全体でCO2排出量実質ゼロを目指すことを掲げるもので、その頭文字を取った「Ocan!」をシンボルマークとして、小田急電鉄の車両内に掲出するなど周知にも努めています。最新の取り組みとしては、2024年4月から、小田急線全線、箱根、江の島・鎌倉、大山エリアの乗り物を100%再生可能エネルギー由来の電力を使って運行しています。

車両内に掲出している「Ocan!」のシンボルマークイメージ
車両内に掲出している「Ocan!」のシンボルマーク

(関)「交通」の面だけでなく、「観光」の面での取り組みも必要です。環境問題との関係が否定しきれない自然災害は、地域にとっても小田急にとっても大きな脅威です。自然災害そのものにあらがうことは難しいことですが、その影響を少しでも抑えるべく、事前の取り組みは行えます。箱根は火山問題もありますから、どうにかしなければ、という危機感もありました。
そうした中で企画したのが、2024年6月に発売を開始した「エシカル旅プラン」です。端的に言えば、旅行によって排出されるCO2を回収し、地域にも相当の還元をする仕組みです。エシカル旅プランは、既存の旅行商品に1,000円をプラスすることで、その半分をカーボンオフセットに、残りの半分を箱根町の持続に役立てます。また、貢献への証明として、寄木細工をモチーフとしたNFTのデジタルアートを贈呈することで、箱根とのつながりをいつまでも持っていただけます。こうした取り組みによって、箱根エリアの環境保全や生活環境改善対策などに貢献できればと考えています。

エシカル旅プラン 商品に含まれるものイメージ

消費者を巻き込んだ新しい旅の形の提案

(関)発売から間もない「エシカル旅プラン」ですが、10代からの関心が高いように見受けられます。学校教育に目を向ければ、SDGsについて学ぶ機会が多くなっていますし、環境への意識と行動は、もはや当たり前のものとなっているのかもしれません。

エシカル旅プランイメージ

(白木)購入する商品が、環境や地域に対してどんな負荷をかけているのか。普段は気付かずにいることも、それを知ることで購入商品の選択肢が変わるということを多くの人が経験しているのではないでしょうか。そういう選択の機会があることを知ってもらい、地球にやさしい商品やサービスを少しでも選んでもらいたいと考えていますし、10年後、20年後の当たり前のために今からできることを、お客さまと一緒に取り組んでいきたいと思います。

(関)小田急が掲げる「地域価値創造」は、ある特定の人・社会に目を向けていては実現できないと思っています。観光でいえば、少なくとも地域の人・社会と観光者の両方を見ることが必要です。そこでくらす人のことを考え、その地域の魅力を捉え、持続可能な社会づくりを追求することで地域の理解や満足を得る。このことなしに、観光活性はもはやなく、結果、観光者の満足も再来訪もないと考えています。「100年先へ続く観光」を理想に、最良の商品・サービスの開発に取り組んでいくうえで、エシカル旅プランを知ってもらいたいし、選んでもらいたい。そして、利用者からのご意見を糧にしていきたいですね。

※内容は取材時のものです。

INTERVIEWEE

小田急電鉄㈱
経営戦略部   課長 白木 裕子
観光事業開発部 課長 関 隆宏

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