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変化するお客さまニーズに、
百貨店の強みと
パートナー企業の専門力で
立ち向かう

小田急SCディベロップメント マーケティング推進部 主任 齋藤さん、新宿南口営業室 主任 大谷さんイメージ

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百貨店業界はコロナ禍の影響を受けたものの、現在は好調なインバウンド、強固な顧客基盤にも支えられ、比較的堅調な環境にあります。しかしながら、消費者の購買行動の変化は大きく、オンラインショッピングの利用はもはや当たり前で、昨今の不安定な経済背景から、買い物で失敗したくないといった気持ちも強くなってきているように思います。

こうした状況下で、これからの時代を生き抜くために百貨店にできることは何か。行きついたのは、百貨店の強みでもある接遇力と商品の多様さに、パートナー企業の専門力を掛け合わせた新たなチャレンジでした。

今回は㈱小田急百貨店営業統括部でオープンイノベーション事業に関わる事業創造担当の寺田啓介さんと久保田菜海さんに、小田急百貨店が築いてきた顧客基盤を生かした新たな取り組みや、今後の事業展開について聞きました。

百貨店の強みを生かした新規事業開発に着手

(寺田)コロナ禍の影響や経済情勢の変化から、お客さまの消費行動に、ある変化を感じていました。それは、新製品や限定品への反応が以前に比べると落ち着き、より「自分に合うもの、いいと感じるもの」を吟味して買う方が増えてきたということです。一方で、小田急百貨店の長い歴史の中で築いてきた、お客さまからの信頼や取引先企業とのつながりは、私たちにとって大きな強みであると再認識することもできました。

寺田さんイメージ

(久保田)小田急百貨店は「モノを販売する」という業態ではありますが、対話を通して目の前のお客さまにとってより良いモノを提案することを大切に考え、単なる「御用聞き」に終始するのではなく、相談役のようにお客さまの要望に応える努力を社員一人ひとりが重ねてきました。長くご愛顧いただいているお客さまの中には、親しみを込めて「小田急さん」と呼んでくださる方もとても多いんです。

久保田さんイメージ

(寺田)事業創造担当が設置されたのは2019年、私と上司の2名体制でした。社内メンバーとともに新たな価値提供の方法を模索していましたが、どうしても既存事業の延長にとどまるものが多く、社外のアイデアやノウハウを取り入れられたらとたどり着いたのが「オープンイノベーション」です。2022年からベンチャー企業とのマッチングサービスを利用するようになり、2023年にはベンチャー企業支援プログラム「ビジネスアクセラレーターかながわ」(以下、BAK)にも参画し、広くパートナーを募ることとしました。

顧客基盤を生かし、WIN-WINな事業を構築

(久保田)BAKを利用し、2023年には「未来の百貨店ビジネスのあり方の模索」「新たな収益源の確保」をテーマに公募を行いました。公募をした理由は、顧客基盤や外商機能という強みを生かしつつ、弊社のネットワークでは開拓困難な販路を持つ企業や将来のビジョンが当社と近い企業とチャレンジをしたいという気持ちからでした。

(寺田)私たちがオープンイノベーションを通じて共に事業を行う相手に求めるのは、新しい価値や事業を生み出すプロセスにおいて「対等」であることでした。お互いに刺激を与え合い、WIN-WINな関係を築けること、これに尽きます。

(久保田)第1弾となったのは株式会社bacterico(バクテリコ)さんとのプロジェクトでした。腸内フローラケアのサービスを展開するベンチャー企業で、小田急百貨店の外商顧客向けにヘルスケアサービスを紹介するというものです。今まで「モノ」を売ってきた私たちにとって「サービス」を売るのは難しいのでは、と不安もありましたが、バクテリコさんの専門性もあって、実施後のアンケートでも前向きな意見をたくさんいただくことができ、オープンイノベーション実行の一歩として弾みがつきました。

ダイエットフローライメージ
2025年1月にリリースした共創サービス 「ダイエットフローラ」

パートナー企業とともに、新たな販路を開拓

(久保田)2024年からは、株式会社emome(エモミー)さんとともに「SATIMER」(サチメル)という介護施設向け通信販売事業を開始しました。介護施設との強いパイプがあるエモミーさんに営業活動やヒアリングを担当していただき、小田急がセレクトした商品を掲載したカタログを提携の施設へ送付するという形で事業をスタートしました。

介護施設に入居されている方は、どうしても自由に買い物に行きにくい方が多く、家族に代行してもらうこともあり、自分で選んで買う楽しみが少なくなってしまうという声を聞きました。さらに、「実物を見て選びたい」という声にもお応えして、施設のスペースをお借りしてサンプル品を展示することもあり、小田急沿線の施設を含め提携施設が増えています。

カタログ表紙、施設での注文会イメージ
カタログ表紙(左)、施設での注文会(右)

(寺田)百貨店に来られていたお客さまの中には、年齢を重ねたことで買い物に行きにくくなったという方も少なくありません。ECの展開はしていますが、来店いただくことを前提にした百貨店という業態では、そうしたお客さまへのアプローチが難しいという問題を強く意識するきっかけにもなりました。「サチメル」は、こうしたお客さまに小田急百貨店が価値を提供できる新たな場になると感じています。

また、成果が出始めたことで社内の協力体制も構築しやすくなりました。事業創造担当としてやっていることが可視化されたおかげで、広報など社内の関係部署を巻き込んで事業を動かすことができるようになりつつあると、手応えも感じているところです。

「共創」を通じて、社会へ価値を提供し続ける

(久保田)少しずつですが、オープンイノベーションの取り組みを通じて視野が広がり、社外の方との出会いや新しいアイデア・技術によって、課題解決に向けてさまざまな角度からアプローチできる可能性を感じています。これまでは外商顧客向けのサービスを展開してきましたが、今後は小田急百貨店へ足を運んでくださっているすべてのお客さまの体験価値向上にもつながるようなサービスも考えていきたいと思っています。

(寺田)従来のやり方を続けるのではこの先、生き残っていくのが難しいと日々感じますし、お客さまも常に新しいモノや体験を求めています。だからこそ、既存事業の枠にとらわれず挑戦し続けることで、お客さまや取引先から選ばれる企業であり続けたいと考えています。今はまだ小さな取り組みですが、チャレンジを続けることで、地域や社会に対してより大きなインパクトを与えていきたいと考えています。

※内容は取材時のものです。

INTERVIEWEE

㈱小田急百貨店
営業統括部 統括マネジャー  寺田 啓介
      サポートリーダー 久保田 菜海

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