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小田急ホテルセンチュリーサザンタワーでは、宮城県女川町の地域活性化のために、2016年から「食」を通じた連携を深めています。今年10月から11月にかけては、エシカルやサステナブルをテーマに「女川・海と山の恵み料理フェア」を開催し、好評を博しました。ホテルだからこそできる地域活性化や環境への取り組みについて紹介します。
一件の問い合わせから深まった女川町とホテルの縁
新宿駅すぐの立地にある小田急ホテルセンチュリーサザンタワーは、地下4階、地上36階の複合型高層ビル「小田急サザンタワー」にあるホテルです。客室は22階~35階にあり、東京を一望する眺望も人気で、宿泊者の約9割は外国人旅行者というほどインバウンドも好調。ホテルではオリジナルメニューの開発にも力を入れていて、社内コンテストから生まれた“食で旅する”をテーマにした世界周遊プレートや、東京産野菜を使用したベジフルコースなどで好評を得ています。
そうした中、2016年に宮城県女川町の商工会から「町を元気づけ、もっと多くの方々に訪れていただけるような女川町独自のスイーツを作りたい」という相談を受けたことが、女川町との連携の始まりです。この依頼に対し、ホテル側も震災からの復興途中にあった女川町の地域活性化に少しでも貢献したいという思いから、スイーツづくりのアドバイザーとして協力を開始しました。
料理長の石川篤志さんは言います。「女川町は東日本大震災で甚大な被害を受けました。女川町の地域活性化に役立てればと、商工会の皆さんと一緒に商品開発を行いました。試作を重ねた結果、女川町の町並みをイメージしたジェラートが完成し、喜んでいただけた経験は私たちにとってもかけがえのないものになりました。その後も、女川町の特産品である海産物を直接仕入れ、ホテル内の直営レストラン、ラウンジ、宴会場の料理として提供するなど、つながりを深めています」
関係性を深め、一致協力し、社会課題の解決にも挑む
東京から遠く離れた地域との共創は、ホテルを利用するお客さまに対しても、新たな食体験という価値をもたらしました。
今年10月から11月にかけて開催した「女川・海と山の恵み料理フェア」では、豊かな自然がもたらす女川町のめぐみを生かし、魚介中心のコースや野生のシカを有効活用したジビエなど、ほかでは味わえない貴重な食体験の機会を提供しました。また、2024年からは規格外などの理由で出荷ができない「未利用魚」を活用したメニューを開発し、お客さまに美味を楽しんでいただきながら食品ロス削減や資源循環にもつなげています。
「女川・海と山の恵み料理フェア」で提供された料理の一例(写真左/宮城県産鹿肉のハンバーグと女川の恵み前菜盛り合わせ 写真右/秋刀魚のクネルを浮かべたスープ ド ポワソン)
「メニューの中には、宮城県牡鹿半島で捕獲された鹿肉で作るハンバーグや、女川魚港で大量に水揚げされながらも行き場を失っていたイワシなどの未利用魚を使ったスープを提供しています。また、これらの料理の食事券を女川町のふるさと納税返礼品にするという初の試みも行いました」(石川さん)
「共感」を呼ぶ社会活動がホテルの未来に光を照らす
地域の課題をお客さまにも喜ばれる食という形で解決し、さらに新たな価値を見いだす試みは着実に成果を上げています。
「海外からのお客さまは環境に対する意識がとても高いので、『地産地消』『エシカル』『食品ロス削減』といったテーマを掲げた商品やフェアは、社会的な課題に取り組む姿勢として共感をいただいています。このような時勢の中、女川町の食材を使ったメニューに対しても『魅力が伝わり食で旅している気分になる』などの好評をいただいています」(石川さん)
さらに女川町との関わりは、ホテルスタッフにも良い影響をもたらし、「社会とつながる」貴重な経験が働く意義や誇りにもつながったと言います。地域活性化の取り組みは地方創生や支援だけにとどまらず、ホテルが進む未来へとつながっています。
「ホテルと地域社会が未来にわたり共に成長していくことこそが、私たちの果たすべき役割」という石川さん。その言葉通り、小田急ホテルセンチュリーサザンタワーは、サステナブルな取り組みを継続的に形にし、地域とともに成長する魅力あるホテルを目指していきます。
※内容は取材時のものです。