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小田急沿線を中心とした商業施設(以下、「施設」)を管理・運営する㈱小田急SCディベロップメントでは、お客さまから集めた不要品やチャリティイベントでの収益をギフトとして地域に寄贈する取り組み「Re:born(リボーン)」を、2023年度から実施しています。
これまで3回開催した中で見えてきたのは、「自分たちの行動が、どう役立てられているのか」というお客さまの関心の高さでした。同社でサステナブル施策に関わる加藤啓太さん、齋藤朱莉さん、佐藤初さんに、取り組みの成果や意義について聞きました。
不要品回収を通して見えた生活者の環境意識の高まり
小田急SCディベロップメントでは地域共生ステートメント「エキチカは、マチチカ、ヒトチカへ。」を掲げ、小田急沿線をはじめとする「まち」と、そこに住み訪れる「ひと」に寄り添い、ともに発展しながら、持続可能な未来を目指しています。その一つの形として、環境に関する活動にも積極的に取り組んでいます。
(齋藤)施設を運営する各営業室とともに企画を推進している「Re:born」では、イベント期間中、施設内に設置したボックスで衣類や本などの不要品を回収し、パートナー企業に買い取っていただきます。その査定額と、もう一つのコンテンツであるチャリティイベントの収益をあわせて、各施設がある自治体が求める「ギフト」を購入して寄贈します。ギフトは図書館の本や児童館の遊具などが多く、地域で集まった不要品が、同じ地域へギフトとして還元されていくという仕組みが特徴です。地域貢献や資源循環の実感は、私たちだけでなく参加してくださるお客さまにもあるのではと感じています。
(佐藤)私は、相模大野ステーションスクエアで施設の販促などに携わっています。Re:bornの不要品回収は期間を決めて実施しますが、回を重ねるごとに回収量が増え、バックヤードでは「回収が間に合わない」と嬉しい悲鳴があがることも。また、館内に出店されているテナントさまも、独自にフードロス対策や古着回収といった取り組みをされているところが多く、お客さまも企業も、これまで以上に環境に意識を向けるようになっていると実感しています。
(加藤)SDGsというワードが、ずいぶん浸透してきたと感じます。また、生活者の方も「自分の行動がどのように環境に結び付いているのか」に強い関心を示すようになっていて、実際に「こういう事業に使ってほしい」という思いを託してくださる方が多いですね。どこに寄付したのかを明示してほしいという声も聞かれます。
Re:bornで広がる「思い」の輪
2025年10月には第4弾を実施したRe:bornですが、その実施にはパートナー企業の協力も欠かせません。
(齋藤)元々は、現在も一緒に取り組みを行う学生服のリユースショップを展開する、さくらやの取り組みに当社が賛同し、協業に向けてお声がけさせていただいたのが始まりです。そこから、同じ思いを持つブックオフコーポレーション㈱、㈱REGATEに輪が広がり、各施設で開催するチャリティイベントにも「中古おもちゃ詰め放題」や「リユース子ども服の持ち帰り」などの形でご協力いただいています。施策の前後には意見交換や振り返りも行い、単なる社会貢献活動ではなく、地域のステークホルダーや行政とのつながり、複数社の連携による施策の認知向上など、関係者全てにメリットのある形を取れるよう議論を重ねています。
Re:bornの様子
2025年にはRe:bornに加え、スタートアップとの連携による古着回収の実証も行われました。企画や運営を担当した加藤さんは、パートナーとなった㈱FASHION Xの思いに、自社の地域共生ステートメントとリンクする部分があったと言います。
(加藤)実証では、私たちが運営する2つの施設に古着回収ボックスを設置しました。私たちがFASHION Xさんに共鳴したのは、国内流通に目を向けている点です。海外への輸出だけではなく、回収された衣類が国内の貧困家庭や児童養護施設への寄付につながっています。このように国内での循環を心がけた活動をされていたため、地域に寄り添う価値観を大切にする私たちは、大いに共感しました。ボックスの設置にあたって大々的な告知はしていなかったのですが、予想を大きく上回る量の衣料品をお持ちいただき、大きな成果につながりました。FASHION Xさんからも「想像以上の反響で、古着だけでなく、おもちゃ、ぬいぐるみなど、国内の貧困家庭や児童養護施設への寄付に多くつなげることができました」という声をいただき、今後もパートナーシップを継続し、SDGsの輪を広げていきたいと考えています。
誰かのために何かを。地域とともにある商業施設としてできること
沿線にくらす人々や来館者の環境意識の高まりを受け、今後もRe:bornや古着回収ボックスの設置はもちろん、さまざまな人と一緒にサステナビリティを考え、行動を起こしていきたいと3人の思いは共通しています。
(加藤)サステナブル施策は、沿線を中心とした生活者の方々への啓蒙活動としても継続したいです。特に駅近の施設にある回収ボックスは目にする機会も多く、行動変容にもつながりやすいはず。「誰かのために何かする、感謝されることも嬉しい」。そんな素直な気持ちを感じられる施策を打ちたいですし、そうした思いを「ここに住みたい・住み続けたい」という思いにまで昇華させられれば、結果として選ばれるまちへと成長していけるのではと期待しています。
(佐藤)他の施設を見ても、シーズンに合わせたワークショップやアイデアのある展示などを行っているところがあり、相模大野ステーションスクエアでもできることがたくさんあるなと感じます。もちろん、取り組みをきっかけに来館したお客さまがそこでお買い物をしてくださるのが理想でもあるので、いかに購買につなげられるかも考えていきたいです。環境保全などに取り組むテナントさまも多いので、そうした情報を集約して施設として発信したり、一緒にできることを模索していきます。
(齋藤)Re:bornを開催する上では、人員やスペースの確保も課題だと感じています。限られた人と場所でいかに効率的に不要品を回収できるか、省人化をはじめさまざまな方法を検討していく必要があります。また、施策の認知度にも改善の余地があるので、この取り組みを知っていただき、その上で足を運んで参加していただけるような告知や施策を積極的に行っていきたいです。その中でも、「地域共生」という観点は引き続き持っていたいですし、当社の施策に参加したお客さまが、地域について考えるきっかけになっているという自負はこのプロジェクトの原動力としてあり続けると思います。
世界規模の環境貢献ではないかもしれないけれど、小さな一歩が自分のくらす地域への贈り物や、新たな価値あるものとして生まれ変わる。そんな人々の小さな思いが確かな形になる取り組みを、小田急SCディベロップメントではこれからも続けていきます。
※内容は取材時のものです。
監修:小田急電鉄株式会社