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東京都立川市を中心に路線バスなどを運行する立川バス㈱。以前から「リラックマ」や「すみっコぐらし」といったサンエックス㈱の人気キャラクターをあしらったラッピングバスを運行し、地域をはじめ子どもやキャラクターのファンにも親しまれてきました。そんな同社に、今年4月、自社キャラクターの「にゃちかわさん」が新入社員として入社しました。
今回は、にゃちかわさんの誕生秘話やその背景にあった思いなどを、開発に携わった前田欣郎さん、渡邉道子さん、広報活動に関わる島田尚利さんにうかがいました。
サンエックス社との関係値が実を結ぶ
立川バスとサンエックス社の関わりは2007年から。リラックマのラッピングバスを走らせたことから続いており、2024年のEVバス導入時には、すみっコぐらしのラッピングバスも運行。以来、絵柄を更新しながら走るラッピングバスは、ある種、立川バスの看板的な存在でした。一方で、自社での採用活動や広報活動にも使用できるオリジナルキャラクターがあればと、アイデアを提案した渡邉さんが当時を振り返ります。
(渡邉)サンエックスさんのキャラクターは知名度が高く、おかげさまでラッピングバスやコラボグッズも人気です。ただ、あくまでもサンエックスさんのキャラクターのため、自社のウェブサイトに掲載したり、チラシやポスターに使ったりといったようなイラスト使用の自由度は高くありません。他社を見ていると、会社のオリジナルキャラクターが活躍しているところも多く、2029年に控えた創業100周年の節目に向けて「キャラクターを作ってはどうか」と提案しました。
渡邉さんが所属する運輸部の部長である前田さんは、そのアイデアを聞いてすぐに「いいね!やってみよう」と快諾したとのことです。
(前田)より自由度の高いキャラクターがあれば、というのは私も感じていたところでした。また、運行するバスをEVバスに置き換えていくという目標もあり、EVバスや電気と関わりのあるキャラクターにしたい、バスの車体デザインもそのキャラクターに……など、私にもアイデアがありました。役員会議でも背中を押されましたし、当時の社長も「早くデビューさせてほしい!」と楽しみにしてくれていて、期待値が高かったですね。
立川バスらしさ満載のキャラクターが新入社員に!?
こうして、サンエックス社との自社キャラクターの開発プロジェクトがスタート。地域住民やバスの利用客に愛され、立川バスの「らしさ」があふれるキャラクターとはどのようなキャラクターなのかを考え、デザインの要望としてまとめていきました。
(前田)キャラクターデザインを依頼するにあたっては、当社からは親しみの持てるかわいらしさ、伝統デザインである赤色と白い三本ライン、EVや電気との関わりを感じさせるデザインを要望として出しました。
(渡邉)他社と重複しないデザインとネーミングを考えていただくのは大変だったと思います。立川市内だけでもオリジナルキャラクターを活用している会社は多いので、いいアイデアだと思っても既に使われているケースもあって……。
その後、サンエックス社内でのコンペを経たデザイン案を見たときには、「どれも秀逸だったし、かわいい!と驚きました」と渡邉さん。最終的にはプロジェクトメンバーによる議論のすえ、にゃちかわさんを立川バスのキャラクターとして採用しました。
(前田)できあがってきたデザインを見て感心したのは、設定が細かく作り込まれていることです。漢字の「立川」をモチーフとして顔に取り入れ、伝統デザインを取り入れたがま口財布、しっぽ部分が充電プラグになっていてEVバスとの親和性を感じられるデザインなどはもちろんですが、立川の隠れた特産品であるブロッコリーやウドがにゃちかわさんの好物としてプロフィールにも記載されていて、よく調べてくださっているなと驚きました。
そして、デザイン決定から約1年を経た2026年2月、にゃちかわさんのデビューを正式に発表。かわいらしいフォルムだけでなく、立川バスらしさいっぱいのデザインは社内からも好評だと言います。
(前田)せっかくキャラクターを作るなら、多くの人に知ってもらいたいし、愛されてほしい。そのためにとことん振り切ろうと。にゃちかわさんを社員として迎えるにあたり、メディアの方を招いて発表会も行いましたし、今年度の新入社員とともに社内報にも載せています。業務としては、旅客サービス課で社外へのPR活動をお願いしていきます。
多くの人とふれあい、地域やお客さまとの距離をさらに近く
現在、にゃちかわさんがあしらわれたEVバスも一部路線で運行していますが、4月からは立川バスの社員として、広報活動などを担う旅客サービス課に所属することも発表されました。
(島田)実は私は2026年まで旅客サービス課を離れていたんです。戻ってくるとにゃちかわさんが入社していて、しかも同じ課に配属されると聞いて本当にびっくりしました(笑)。あとから聞いた話では、情報があちこちに散逸するのを防ぐため、プロジェクトは社内の限られた人のみで極秘で進められていたようです。とはいえ見た目もかわいいですし、イベントなどでも目立つので、訪れたお子さんが「にゃちかわさんだ!」と駆け寄ってきてくれる場面もよく見かけます。オリジナルキャラクターが生まれたのは、お子さんやファミリー層にもアプローチできるチャンスにつながっていくのではと思っています。
また、にゃちかわさんの誕生にあたって、現在運行している2台のEVバスに加えて新たに、サンエックス社がデザインしたEVバスも導入しました。同社としても初の試みであり、座席シートなどもにゃちかわさんがあしらわれています。立川バスでは、今後もにゃちかわさんを起用したEVバスを順次導入していく予定です。さらに、立川市内や多摩地域でのイベントなどにも積極的に参加し、「ゆるキャラ」を対象としたキャラクターコンテストに挑戦する案もあるそうです。
(前田)立川市や近隣自治体でのイベントにもにゃちかわさんと参加させていただいたり、同じ立川市内のキャラクターと一緒に、イベントで来場者と交流できるような機会も考えています。キャラクターがいることでそうした場に出ていきやすくなりましたし、PRにもなっています。採用の場では、ラッピングバスをきっかけにした応募者も多いので、にゃちかわさんにも期待しています。
(島田)広報活動を担当している立場としても、今後のにゃちかわさんの活動を通して立川市外の方にも立川バスという会社の存在を知っていただき、実際に立川市を訪れてもらったり、バスを利用してもらったり、さらには立川というまちをもっと知ってもらえたらうれしいですし、そのためにいろいろな活動を展開していく予定です。
(渡邉)にゃちかわさんのグッズを作ってほしいという声もたくさん届いています。立川バスでは一部の路線バス車内でカプセルトイを販売していて、そこに入れてほしいという要望だったり。それらも含めて、グッズなどの商品開発も構想中です。
立川のまちから生まれた「にゃちかわさん」は、親しみの持てるかわいいキャラクターとして子どもたちからの人気も急上昇中。地域に根差したキャラクターとして、今後の活躍にも注目が集まりそうです。
※内容は取材時のものです。
監修:小田急電鉄株式会社