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小田急電鉄㈱では、「誰もが安心して移動できる鉄道」を目指し、バリアフリー設備をはじめとするハード面の整備に加え、駅係員の接客力向上など、ソフト面での取り組みにも力を入れています。
接客スキル向上を目的として、障がい当事者をお招きした講演会を開催しているほか、2026年4月からは、(一財)日本財団電話リレーサービスが提供する「手話リンク」を導入するなど、身体的な制約にかかわらず、より安心して、より快適に鉄道をご利用いただける環境づくりに努めています。
日々の業務で実感する手話の重要性
これまで駅の窓口業務では、聴覚や発話に困難のあるお客さまのお困りごとについては、筆談や業務用スマートフォン、指さし会話帳などを活用してきました。
しかし、筆談を中心としたコミュニケーションは、手話ほどスムーズに対話することが難しく、実際に「手話を使って伝えてもらえると安心感につながる」「手話でコミュニケーションを取りたい」といった声も寄せられていました。
当事者の視点から学ぶより良いコミュニケーション
小田急電鉄では、障がいをお持ちのお客さまに対する接遇を学ぶため、年に一度、障がいをお持ちの方をお招きした講演会を実施しています。
旅客営業部で駅係員の接客サービスについて担当する赤澤恵さんはこう話します。
「障がいをお持ちの方との接遇について、当事者の方から直接お話を伺うことで、駅係員がより一層、お客さまに寄り添ったサービスを提供できるようになることを目指しています」
2025年11月に行った社員向けの講演会では、駅係員約80名が参加し、聴覚障がいをお持ちの方の視点から実務に直結する接遇を学びました。
「緊急情報の伝達はどうする?」「マスクをしたままお声がけしたら、どんな不便がある?」「お声がけしても反応がない時はどう対応する?」など、ロールプレイングを交えた体験を通して、現場で感じていた迷いを、当事者意識をもってクリアにすることに挑戦しました。
参加した駅係員からは、「聴覚障がい者の視点で車両や施設を改善する必要性を強く感じた」「さまざまなお困りごとのあるお客さまに対しても、なるべく短時間で必要なご案内ができるよう一人ひとりに合わせた応対を工夫していきたい」といった声が寄せられ、お客さま視点を大切にした接遇の重要性を再認識する機会となりました。
誰もが安心して移動できる鉄道を目指して
講演会では、聴覚障がいをお持ちの方の中には、確実でスムーズな対話のために、生活言語として手話によるコミュニケーションを特に重視されている方がいらっしゃることを知りました。こうした当事者の実体験に基づく話が大きな後押しとなり、「手話リンク」の導入に至りました。
「手話リンク」は、電話で相手の声が聞こえない、または聞こえにくい方が、“手話通訳オペレーターを介して”会話できるシステムです。例えば駅でお困りごとがあった場合、各所に掲示されている二次元コードを読み取ることで問い合わせ窓口に接続され、“手話通訳オペレータを介して”駅係員とやり取りすることができます。 事前登録は不要で二次元コードを読み取るだけで、簡単に利用できる仕組みになっています。さらに、ホームページ上からもシステムが利用できるようバナーを設けることで、自宅など駅以外の場所から、鉄道のご利用に関する問い合わせにもお応えできる環境を整えました。
画像提供:総務大臣指定 電話リレーサービス提供機関 一般財団法人日本財団電話リレーサービス
赤澤さんはこう言います。
「導入にあたり意識したことは、お客さまがストレスなく対話できる環境づくりです。駅係員はお客さまの状況をより正確かつ迅速に把握することが重要であるため、遠隔でご案内する場合は構内カメラなどを併用して、お客さまの様子を確認しながら対応できる体制を構築しました。
また、必要な時に迷わず利用できるよう、設置場所の分かりやすさも重視しました。問い合わせが最も多い改札付近に、インターホン付近へ二次元コードを設置し、駅構内図にも設置場所を明示するなどの工夫をしました。
手話でのコミュニケーションが可能になったことで、聴覚や発話に困難のあるお客さまにも、これまで以上に快適に鉄道をご利用いただけることを期待しています」
「手話リンク」は導入がゴールではなく、これからもお客さま一人ひとりに寄り添ったサービスにつなげていくためのきっかけのひとつです。すべてのお客さまに快適に鉄道を利用していただくために、小田急電鉄では今後もお客さまの声を大切に、社会環境の変化に応じたサービスを充実させていきます。
※内容は取材時のものです。
監修:小田急電鉄株式会社