複々線化事業

事業の概要

当社では、輸送需要に対応するため列車を増発し、朝のラッシュピーク時には、およそ2分に1本の割合で列車を運転してきたほか、この時間帯に都心方面に向かう急行・準急は全て10両編成、各駅停車を8両編成で運転するなど、列車の長編成化を行ってきました。
しかし、従来の複線設備では輸送力に限界があることから、快適な輸送サービスを実現するための抜本的な輸送改善策として、東北沢~和泉多摩川間(10.4km)の複々線化事業を進めています。
そして、計画から約50年、着工から約30年の年月を経て、2018年3月、同区間の複々線が完成しました。現在は、2018年度の事業完了を目指し、残る下北沢駅の構築や世田谷代田駅の仮ホーム撤去工事、当社線と交差する道路(昔の踏切箇所)の整備などを進めています。

複々線区間と事業の経緯

複々線区間と事業の経緯

経堂~千歳船橋間
経堂~千歳船橋間
下北沢駅地下ホーム
下北沢駅地下ホーム

下北沢地区の断面図(新宿方面から小田原方面を見た図)

下北沢地区の断面図(新宿方面から小田原方面を見た図)

事業の効果

複々線完成により、朝のラッシュピーク時間帯を中心に列車の増発が可能となり、混雑が緩和されたほか、各駅停車と快速急行などの優等列車が別々の線路を走ることにより、所要時間が短縮されました。2018年3月からは、当社の長年にわたる想いを込め一から作成した「新ダイヤ」による運転を実施しており、ラッシュ時間帯でその効果が発揮され、当社線は大きく変貌を遂げました。
また、複々線化事業は、鉄道を立体化して踏切を廃止する東京都の連続立体交差事業と一体的に進めており、事業区間にあった39カ所の全ての踏切が廃止されています。これにより、鉄道・道路の安全性が向上したことに加え、踏切での慢性的な交通渋滞の緩和や、鉄道によって分断されていた市街地の一体化が図られ、駅周辺の整備や街づくりも促進されています。

東京都の連続立体交差事業

複々線化事業は、東京都の都市計画事業である「連続立体交差事業」と一体的に実施されています。詳細はこちらからご覧ください。

東京都の連続立体交差事業

複々線完成によるラッシュ時間帯における輸送効果

I 混雑緩和による快適な輸送環境の提供

混雑緩和による快適な輸送環境の提供

最混雑区間(世田谷代田→下北沢間)の平均混雑率の推移

II 所要時間短縮による都心方面へのアクセス向上

所要時間短縮による都心方面へのアクセス向上

ラッシュピーク時の所要時間

III 千代田線直通列車増発による都心中心部への利便性拡大

千代田線直通列車増発による都心中心部への利便性拡大

経堂5号踏切(立体化前のラッシュピーク時1時間当たりの遮断時間53分)

経堂5号踏切(立体化前のラッシュピーク時1時間当たりの遮断時間53分)

駅周辺の整備

複々線化事業および連続立体交差事業の進捗に合わせて、駅周辺の街づくりも進められてきました。駅前広場が整備され、路線バスやタクシーがスムーズに乗り入れできるようになるなど、交通アクセスが格段に向上したほか、立体化により創出された高架下や線路上部のスペースを活用した駅前広場が整備されてきました。

経堂駅周辺
経堂駅周辺
成城学園前駅西口
成城学園前駅西口

祖師ヶ谷大蔵駅の変遷(立体化区間)

祖師ヶ谷大蔵駅の変遷(立体化区間)

高架下や鉄道上部空間などの活用

複々線化事業および連続立体交差事業によって創出された高架下空間を活用して、保育所やレンタル収納スペース、駐輪場など生活利便施設を展開しているほか、世田谷区や狛江市により、福祉施設や図書館など公共施設の整備も進められました。
また、駅のホームを地下に移設した成城学園前では、線路上部に駐輪場や、会員制の貸菜園「アグリス成城」を設置したほか、物販や飲食、保育所やクリニックなどで構成される駅ビル「成城コルティ」を2006年にオープンしました。
下北沢地区では、賃貸住宅「リージア代田テラス」を2016年に開業しました。

レンタル収納スペース「小田急クローゼット成城」
レンタル収納スペース「小田急クローゼット成城」

小田急線地下化工事情報誌「シモチカナビ」

 複々線化事業および連続立体交差事業への理解促進を図るため、2006年7月より、3カ月ごとに情報誌「シモチカナビ」を発行しています。「シモチカナビ」では、工事内容や今後の予定などを、写真や図を用いて分かりやすく説明しており、工事中区間の5駅(代々木上原駅、東北沢駅、下北沢駅、世田谷代田駅、梅ヶ丘駅)への駅置きやホームページによって情報を発信しています。

シモチカナビホームページ

小田急線地下化工事情報誌「シモチカナビ」

駅舎計画

「東北沢」「下北沢」「世田谷代田」の3駅は、「安全」「使いやすい」「人にやさしい」「環境にやさしい」を共通のコンセプトとし、地元住民や関係事業者の意見、環境配慮の条例を踏まえ、太陽光パネルの設置や緑化などさまざまな環境に配慮した機能およびデザインを備えた駅舎となります。
今後は、2019年3月の工事完成に向けて、残る下北沢駅舎の構築などを進めます。

下北沢駅

駅から街へ、多方面に向かう人の流れを創出するため、新宿側の改札口を開放的な空間とするほか、北側の壁面を透過性のある素材にすることで、開放感のあるデザインとしています。また、街の回遊性と駅の利便性向上のため、新宿方面、小田原方面、京王井の頭線との乗り換え箇所に改札口を設置します。なお、小田原方面の改札口(南西口改札)は、2017年 10月から使用を開始しています。

駅前広場から見たイメージ
駅前広場から見たイメージ
駅舎内2階から見たイメージ
駅舎内2階から見たイメージ

完成時の断面イメージ

完成時の断面イメージ

東北沢駅

新しい文化を生み出す街に調和するよう、シンプルでモダンなデザインとしているほか、駅舎の形状を工夫することにより街へのアクセスにも配慮しています。

東北沢駅西口改札
東北沢駅西口改札
コンコース
コンコース

世田谷代田駅

 閑静で緑豊かな住宅地との調和を図るため、駅内外の緑化に加え、自然光が差し込む「トップライト」を導入するなど、やわらかく落ち着いたデザインとしています。

世田谷代田駅改札
世田谷代田駅改札
コンコース
コンコース

地中熱ヒートポンプシステムによる空調

東北沢駅と世田谷代田駅では、駅施設の一部に地中熱ヒートポンプシステムを利用した空調設備を設置しています。なお、世田谷代田駅の地中熱ヒートポンプシステムは、環境省の「地球温暖化対策技術開発等事業」として、補助金を受けて工事を進めました。