2009年度に発生した、国土交通省令「鉄道事故等報告規則」に基づく
「鉄道運転事故」「輸送障害」「インシデント」の発生状況についてお知らせします。

鉄道運転事故などの件数の推移について。

 鉄道運転事故について、2009年度は、踏切障害事故が2件、鉄道人身障害事故が5件の計7件が発生しました。

 また、輸送障害(鉄道運転事故以外のもので、鉄道の輸送障害により、運休または30分以上の遅延が生じたもの)は29件、インシデント(鉄道運転事故が発生するおそれがあると認められる事態)は1件発生しました。

鉄道運転事故等の件数の推移

鉄道運転事故件数の推移

鉄道運転事故の分類

列車衝突事故 列車が他の列車又は車両と衝突し、又は接触した事故
列車脱線事故 列車が脱線した事故
列車火災事故 列車に火災が生じた事故
踏切障害事故 踏切道において、列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し、又は接触した事故※
道路障害事故 踏切道以外の道路において、列車又は車両が道路を通行する人又は車両等と衝突し、又は接触した事故
鉄道人身障害事故 列車又は車両の運転により人の死傷を生じた事故(前各号の事故に伴うものを除く)※
鉄道物損事故 列車又は車両の運転により500万円以上の物損を生じた事故(前各号の事故に伴うものを除く)
  • 自殺によるものは輸送障害になります。

事故の未然・再発防止に取り組んでいます。

電車の扉挟みによる鉄道人身障害事故の再発防止策に取り組んでいます。

1. 経緯

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 2007年6月、東海大学前駅下りホームにおいて、お客さまの手を扉に挟んだまま列車を出発させ、怪我を負わせてしまうという事故がありました。これに対し、乗務員に対する再発防止教育や訓練内容の見直し、全線の曲線ホームに対する検証を踏まえた事故防止策の策定など、これまでにさまざまな再発防止策に取り組んできました。

2.「カーテンセンサーシステム」の導入を決定

 再発防止に向けた取り組みの一つに、列車出発安全確認補助装置(通称「カーテンセンサーシステム」)の導入検討があります。これは、電車に接近していらっしゃるお客さまを赤外線センサーにより検知するシステムで、実用化のめどが立ったことから、東海大学前駅下りホームの本設置を決定しました。

7000形車両の台車に傷が発見されたことを受け、再発防止に取り組んでいます。

  • 上記の7000形台車の傷については、国土交通省令「鉄道事故等報告規則」のインシデントとして関東運輸局に届け出ています。

[1] 発生日時

2010年1月12日

[2] 発生場所

大野総合車両所

[3] 発生状況

 ロマンスカー・LSE(7000形)の経年劣化を把握するため、すでに廃車扱いとした7002編成を使い、台車の劣化診断を自主的に実施したところ、検査対象箇所以外の一部の部品に傷が発見されました。これを受け、7000形および同様の台車構造を持つロマンスカー・HiSE(10000形)を対象に一斉点検をしたところ、全編成で傷が発見されました。

[4] 対策

 長年の車体への負荷荷重が原因と見られ、修復可能なものについては傷を除去後、溶接による補修を実施の上、ひずみがないことを確認しました。修復困難なものについては、新品の部品に取り替えます。

 現状で傷が発生していないもの、溶接による補修を行ったものについては、1年周期で「磁粉探傷検査」と呼ばれる精密な検査を実施します。新品と交換したものは、4年周期(または走行距離60万km)で実施する「重要部検査」「全般検査」時に「磁粉探傷検査」を実施します。

車いすをご利用のお客さまの線路転落防止策を講じています。

1. 経緯

 2009年9月に同業他社で発生した車いすをご利用のお客さまのホーム転落事故を受け、当社においてもホームの勾配や注意喚起状況を再確認しました

2. 対策

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高座渋谷駅の転落防止用の固定柵

 当社線では、車いすをご利用のままホームに直接出入りできる改札口が13カ所あり、特に、高座渋谷駅上りホームは、エレベーターの前面に線路方向への傾斜があります。車いすの転動によっては線路への転落の危険があるため、転落防止用の固定柵を設置しました。

 同時に、注意喚起向上のため、全線ですべてのエレベーターの中およびドア付近に、ホームに勾配があることをお知らせしています。エレベーターの出入り口から線路までが短い代々木上原駅と本厚木駅、エレベーターの出入り口の方向が線路の直角方向になっている足柄駅、南林間駅、大和駅、湘南台駅、五月台駅、はるひ野駅においては、ホーム床面にも注意喚起表示を実施しています。

 このほか、車いすをご利用のまま通行できるスロープ出入り口や、改札口からホームに直接出入りできる車いす通路の壁面もしくはホーム床面にも注意喚起表示を行っています。

お客さまに安全と安心を(安全報告書2010)