「安全報告書2017」の公表にあたり

小田急電鉄株式会社 取締役社長 星野晃司

平素より、小田急電鉄をご利用いただきまして、誠にありがとうございます。また、「安全報告書2017」をご覧いただき、重ねてお礼申し上げます。

まず、2017年9月10日に沿線火災の影響により、現場付近を走行していた列車が緊急停止し、ご乗車されていたお客さまに車外に避難していただくという事象が発生しました。この事象によるお客さまや関係者の負傷等はありませんでしたが、ご乗車されていたお客さまをはじめ小田急線をご利用のお客さまにご不安を抱かせてしまうとともに、運転再開まで長時間を要したこともあり、多くの方にご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申しあげます。本事象を教訓に、お客さまの期待に応え信頼される小田急を実現するために、全社一丸となって、「日本一安全な鉄道」を目指し、確実な業務の遂行に努めてまいります。

さて、この安全報告書は、鉄道事業法第19条の4の規定に基づきましてお客さまを安全に目的地までお運びするための事業運営方針や管理体制、2016年度における具体的な取り組みをご報告するものです。

当社では、鉄道事業法第18条の3の規定に基づく「安全管理規程」を2006年10月に制定するとともに、基本理念に日本一安全な鉄道をめざすことを掲げ、安全管理体制の整備や安全性を向上するための設備の維持・改善に努めてまいりました。

「安全」「安定」「安心」の3つの指標からなる安全努力目標を定め、2015年度から2017年度の安全に関する中期経営計画に「強靭かつ柔軟な『現場力』の構築」「『未然防止』に対する取り組みの強化」「災害に強い設備・体制の構築」「安定輸送を実現する取り組みの推進」の4つの安全重点施策を掲げ取り組んでおります。

2016年度は従来の取り組みに加え、2018年3月完成に向けた複々線化工事等を推進し、列車運行の安全性と安定性をより一層高める取り組みを行いました。 駅ホームにおける安全性向上のための施策については、2016年12月に国土交通省から示された「駅ホームにおける安全性向上のための検討会(中間取りまとめ)」の方針等に則って、ホームドア等のハード面、視覚障害をお持ちのお客さまへの積極的な声掛けなどのソフト面の両面から取り組んでいます。

その他、過去に発生した重大事故の風化防止を図るため、「事故の展示室」を開設し、社員教育に活用することで、事故の再発防止と未然防止に力を入れております。

2017年4月1日、当社はおかげさまで開業90周年を迎えることができました。2018年3月には複々線化が完成いたします。2017年度も引き続き、安全の確保に向けて全社一丸となって取り組んでまいります。

今後も事故の未然防止に対する取り組みを推進し、多くのお客さまに安全・安心をご提供できるよう、より一層の努力をしてまいりますので、ぜひ、この報告書をご一読いただき、当社の「安全への取り組み」についてご理解を深めていただければ幸いです。

2017年9月

お客さまに安全と安心を(安全報告書2017)