人権の尊重
人権の尊重について
企業における人権対応の重要性がさらに高まるなか、当社グループでは、すべてのステークホルダーに対する人権尊重へのコミットメントとして「小田急グループ人権方針」を策定しました。
これを基盤にして、人権・サステナビリティに配慮した調達・サプライチェーン構築を行うための「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を策定したほか、従業員への還元や取引先への配慮を中心とした収益・成果の適切な配分に対する姿勢を明記した「マルチステークホルダー方針」、従業員が安全に、また安心感ややりがいを持って働き続けられる環境を維持・確保するための「カスタマーハラスメント対応方針」を策定しました。
小田急グループ 人権方針
小田急グループ(以下、「当社グループ」という)は、事業を通じて、お客さまの価値ある時間や空間《かけがえのない時間(とき)》を創造・提供していくことで、お客さまの大切な時間を快適で心地よいものにするお手伝いをし、良きパートナーとして明るくしあわせな社会《ゆたかなくらし》の実現に貢献することを経営理念としています。
人権の尊重は、私たち一人ひとりが経営理念を実現し、社会とともに持続的に発展していくための根幹となるものであり、そのためには、お客さまやお取引先、地域のみなさまをはじめとした、あらゆる人々(以下、「ステークホルダー」という)の人権が尊重されなければなりません。
人々の尊厳が守られ、敬意を払われるようにするため、私たちは国際連合の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、「小田急グループ人権方針」(以下、「本方針」という)を定め、人権尊重の取り組みを推進していきます。
1.基本的な考え方
当社グループは、世界のすべての人々が享受すべき基本的人権について規定した「国際人権章典」(世界人権宣言と国際人権規約)、および労働における基本的権利を規定した国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」等の、人権に関する国際規範を支持・尊重します。
2.適用範囲
本方針は、当社グループの経営理念に基づいて人権尊重の取り組みを定めるものであり、当社グループのすべての役員(これに準ずる者を含む)および従業員(嘱託、パート従業員、臨時従業員等、期間を定めて雇用される従業員を含む)に適用されます。また、当社グループのお取引先およびその他の関係者に対しても働きかけていきます。
3.人権尊重の責任
当社グループは、すべてのステークホルダーの人権を尊重します。あらゆる差別(人種、宗教、性別、年齢、国籍)、ハラスメント、強制労働、児童労働、非人道的な扱い等を禁止し、結社の自由や賃金、労働時間、安全管理等も含めた適切な労働条件、労働環境を守ります。また、お客さまに安全なサービスを提供し、適切な情報開示を行うとともに、地域の皆さまに事業活動が影響を与える可能性を考慮して地域社会との共生を図ります。
4.人権尊重の取り組みの実践
当社グループは、人権を尊重する責任を果たすため人権デュー・デリジェンスの仕組みを構築し、その仕組みを通じて人権への負の影響を特定し、その防止・軽減、取り組みの実効性評価、説明責任の履行に取り組みます。
5.教育・研修
当社グループは、本方針が事業活動のなかで効果的に実行されるよう、役員および従業員に対して適切な教育と研修を実施するとともに、本方針が事業活動全体に定着するよう取り組んでいきます。
6.対話・協議
当社グループは、本方針の一連の取り組みにおいて、独立した外部からの人権に関する専門知識を活用するとともに、関連するステークホルダーとの対話・協議を、誠実に行います。
7.是正・救済
当社グループの事業活動において、人権への負の影響が生じた場合は是正に向けて適切に対処します。また、お取引先において負の影響が引き起こされ、自社の事業等が人権の負の影響に関連している場合、当社グループは当該関係者に対し、人権を侵害しないよう働きかけます。
8.責任者
当社グループは本方針実施の責任者として経営企画本部担当役員を置き、当該責任者は本方針が遵守されているか監督する責任を負います。
2024年1月1日制定
小田急電鉄株式会社
取締役社長
星野 晃司
表現の自由
全ての言論・表現に対して、外部からの干渉や検閲および規制をされることなく、意見を持ち表明する権利を尊重します 。その上で、あらゆる差別や人権侵害の表現等に対して適切に対処します。
リスクマネジメント活動への反映
小田急グループのリスクマネジメント計画策定については、経営に重大な影響を与える「重要リスク」の洗い出しを実施し、継続的にモニタリングを行っていますが、とりわけ「人権リスク」については留意すべき視点が多岐におよび、幅広い検討・対応が必要であると認識しています。企業活動により影響を受ける個人や団体の人権が侵害される要素を、小田急グループの重要リスク検討上の「リスクシナリオ事例」に網羅したうえで各社のリスクマネジメント計画を策定し、実践につなげています。
また、その過程で洗い出された人権リスクを踏まえ、政府や国際機関のガイドライン・指針で示されている内容も参照しながら、小田急グループにおける主要な人権リスクについて、「全事業に共通するもの」「各事業領域に主に存在するもの」を識別して整理しています。人権尊重に対してグループ全体で理解を深めながら、とりわけ意識すべき人権リスクへの対応を進めます。

従業員に対する教育・研修
階層別研修
人権に関する各種方針への理解・浸透を促し、方針を遵守した事業活動や日々の行動に結びつけられるよう、役員および従業員の幅広い階層を対象に、適切な教育・研修を実施しています。
役員層に対しては、弁護士事務所や人権問題の専門家等の視点から、企業に求められる人権対応の全体像ならびに経営者として必要な考え方を共有いただき、理解を深めています。
従業員の階層別研修についても、これまでの「新任マネジャー」「新任監督者」「新入社員」等に加え、「若年総合職」を研修対象に広げたほか、増加している中途入社社員に対する入社時の研修にも「ビジネスと人権」に関する理解・浸透を図る内容を組み込んでいます。
(2025年9月時点)
| 人権研修(2024年度以降) | 受講人数・社数 |
|---|---|
| 新任役員研修(小田急グループ)※ | 46名 |
| 人権講演会(小田急グループ) | 26社 |
| 執行役員向け講演会(当社)※ | 10名 |
| 新任マネジャー研修(当社)※ | 56名 |
| 若年総合職研修(当社) | 10名 |
| 新任監督者研修(当社)※ | 146名 |
| 新入社員研修(当社)※ | 158名 |
| 中途入社社員(当社) | 25名 |
当該期間での対象者受講率:100%

外部専門家による講演会
「ビジネスと人権」に関する理解浸透を図るためには、社内担当部門からの発信に加えて、外部の専門家から、新たな視点や刻々と変化する外部環境について共有をいただくことも非常に有効であると考えています。
これらの講演会については、関係の深い部門・担当者を中心に開催したのち、当日の資料・アーカイブ映像を、社内・グループ全体に配信・共有しています。
開催した外部専門家講演会
日本企業の新たな経営課題としての
「ビジネスと人権」
人権問題が、企業・事業におけるリスクとしてますます重要視されているなか、人権リスクを網羅的に把握・対応していくための留意点を明らかにするとともに、今後のさまざまなルール化の動向や、小田急グループの身近な業種の事例を踏まえた適切な対応方法を学ぶ。
子育て応援施策の社会的価値について
~人権・子どもの権利の視点から見た
ビジネス展開~
事業を通じて子どもの健やかな成長を実現することは、企業が果たすべき人権対応の重要な要素。
「子どもの権利の尊重を通じた企業価値向上」の視点から、当社グループが進めるさまざまな子育て関連施策の重要性・価値創出を見つめ直す。
- 子どもの権利とは
- 子どもの権利とビジネス
- 社会的価値とインパクト評価
- 小田急グループの子育て支援施策の意義・価値創出を考える
- 子どもの権利を尊重する経営
取引先とのコミュニケーション
当社グループでは「小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針」を掲げ、お客さまへの安全・安心な商品・サービスの提供や、取引先との公正・公平な取引を通じて良好な関係性を築くことによる持続的かつ強固なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
その中心に位置付けられるものとして、2024年度より、取引先に対してサステナビリティに関する取り組み状況を確認するためのサステナビリティアンケートを実施しています。人権・労働・環境をはじめ、公正な企業活動や品質・安全性、情報セキュリティ対応に至るまで多様な設問を設定し、取引先各社の現状を把握するとともに、課題の発見・改善を可能にしています。また、このアンケートは、専用のWEBサイトを通じて、回答からその集約・フィードバックまでをインターネット上で完結する仕組みとなっており、セキュリティや利便性の高さだけにとどまらず、それぞれの回答内容をかけあわせた複合的なリスク分析等も可能になることで、有効性の向上を実現しています。
すでに、小田急電鉄(単体)においては、年間取引額100万円以上の取引先について、取引総額に占める金額シェアは97%に達する水準までアンケートの実施を行っており、回答内容を踏まえたフィードバックを順次行っているほか、内部通報制度の整備をはじめとする直接の改善・指導実績も出てきており、今後は、グループ各社の取引先に対するアンケート展開も進めながら、グループワイドでの取引先コミュニケーションの拡充を進めてまいります。
回答からフィードバックまでネット上で一元管理
[サステナビリティアンケート実施状況(2025年7月時点)]
年間取引額100万円以上の取引先を
対象に実施
当社調達部門所管の取引先 187社
交通事業部門所管の取引先 68社
不動産事業部門所管の取引先 60社
当社取引総額の97%を占める
取引先に対してアンケートを実施済み
〈2025年度以降の展開先〉
● 当社「その他部門」所管の取引先
● グループ各社における取引先
※取引先データの整理・統合を進めながら順次実施
アンケートの主な設問項目
全体で60問程度を設定
- 人権・労働
- 環境
- 公正な企業活動
- 品質・安全性
- 情報セキュリティ
- サプライチェーン
- 地域との共生
- 外国人労働者
- 各項目ごとにスコアを算出し、取り組み全体としてのフィードバックを実施
- 個別の回答内容に応じて、状況の再確認および改善指導を実施
小田急グループ サステナブル サプライチェーン方針
小田急電鉄および当社グループでは、グループ経営理念に『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します』を掲げています。既成概念に捉われず常に挑戦を続け、お客さまの体験や環境負荷の低減など地域に新しい価値を創造していく企業へと進化を遂げ、社会全体の持続性に配慮しながら、事業を通じて新たな顧客価値を提供し、持続可能性を高め続けるサステナビリティ経営を推進しております。
この経営理念に基づき、当社および当社グループは、サプライチェーン全体を通じ、国内外における調達活動を含めた取引全般において、お客さまの安全・安心が確保され、各種法令等が遵守されているとともに、高い品質、公正な価格、納期の遵守、人権への配慮がなされていることに加え、「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に資する環境配慮の製品・部材等の優先的購入(グリーン調達)を推進してまいります。
本方針は、当社および当社グループが向き合う6つのマテリアリティ(重要テーマ)を踏まえたサステナブルな企業活動を実践していくため、遵守すべき事項や基本的考えを定めたものです。
適用範囲
本方針は、当社および当社グループの事業において調達・提供される全ての商品・サービス・原材料に関わるお取引先さまを含めたサプライチェーン全体に適用されます。
遵守事項
1 安全・安心の確保
(1)商品・サービス等の安全性の確保
お客さまへ「上質と感動」を提供するためには、安全性の確保は大前提となります。安全を第一とし、お客さまや社会から安心・信頼していただける商品・サービス等の永続的かつ安定的な調達・提供に努めます。
(2)品質の確保
商品・サービス等そのものに限らず、提供後や不具合が生じた際のアフターケアも含め、全ての場面において高い品質の確保に努めます。そのうえで変化し続ける市場やお客さまの声に応じて、品質・性能等の向上を追求し、社会から長きにわたり安心・信頼していただける商品・サービス等の調達・提供に努めます。
(3)公正な価格、納期厳守でのお取引
公正な価格の追求、ライフサイクルコストの低減等、「上質と感動」に資する商品・サービス等の調達・提供に努めます。また、お客さまへ提供する商品・サービス等に不可欠な部品・材料等を永続的かつ安定的に供給でき、納期や期限を遵守することをお取引先さまに幅広く求めていきます。
(4)BCPの構築
災害や不測の事態に備え、事業継続計画(BCP:Business Continuity Planning)を整備します。
2 各種法令等の遵守と腐敗防止
(1)法令・社会規範遵守
日本国および事業活動を行う現地の法令(その他適用されうる全ての規則を含む)を遵守し、社会規範や企業倫理を理解のうえ、良識と責任をもって行動します。
(2)公平・公正の追求
公平・公正・透明・自由な競争および適正な取引を実施し、これらを阻害する行為は行いません。
(3)腐敗行為の防止
不適切な利益や不当な優遇措置を目的とした取引関係者、政治家、公務員等に対し、社会通念の範囲を超える接待、便益や金銭等の授受、供与等を防止します。また、贈収賄、利益相反、横領、利益供与の強要、不正入札等、自己または第三者の職務上の権力や地位を濫用する等の腐敗行為の一切を認めず、また行いません。また、腐敗行為が行われないための仕組みづくりに努めます。
(4)反社会的勢力との断絶
秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体と一切関わりを持たず、不当な要求に対しては毅然とした態度で対応します。
(5)知的財産権の保護
自社が保有または自社に帰属する知的財産権(特許権や実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産について、法令で定められた権利または法律上保護される利益を得る権利)が第三者に侵害されないよう保護し、第三者に帰属する知的財産権を尊重します。
(6)内部通報・相談制度の構築と報復行為の禁止
コンプライアンス上の問題や、人権・ハラスメント等の被害を受けた者が安全に報告・相談できる体制を構築します。また、通報・相談に関連する個人情報は秘密として厳重に管理するとともに、通報・相談したことを理由に報復等の不利益を被らないよう適切な措置を講じます。
3 人権尊重と労働環境への配慮
当社および小田急グループが掲げる「人権方針」に基づき、以下を遵守いたします。
(1)人権の尊重と人権侵害への加担の回避
個人の人権を尊重した事業活動を行い、その活動を行う地域住民の方々の文化、風習、民族性、コミュニティ等も尊重します。また、事業活動が、第三者による人権侵害に関与しないよう十分配慮します。
(2)差別の排除と社会的弱者・少数派の権利の尊重
国籍、人種、年齢、性別および性自認ならびに性的指向、政治的見解、宗教、思想信条、妊娠、配偶者有無、障がい有無等による差別行為や個人の尊厳を損なう言動は排除し、雇用や就業における機会の均等を損なわないようにします。また、社会的弱者および社会的少数者(マイノリティ)の権利を尊重します。
(3)ハラスメントの禁止
身体的・精神的な虐待や様々な嫌がらせ等の一切のハラスメントを禁止し、また、そのような言動を一切容認しません。
(4)強制労働の禁止
自由な意思を尊重し、本人の意に反する強制労働を行いません。また、債務労働や人身取引も認めません。
(5)児童労働の禁止
最低就業年齢に満たない児童に労働をさせません。また、18未満の者を危険有害労働に従事させません。
(6)結社の自由と団体交渉権、その他労働者の権利の尊重
労働環境や賃金水準等について労使間協議を実現する手段としての団結権および団体交渉権、その他労働者の権利を尊重します。
(7)適切な労働時間等の管理
現地法令に基づき、労働時間や休日・休暇の付与等、適正な管理を行い、違法な長時間労働はさせません。
(8)適正な賃金の支払い
現地法令に基づき、不当な賃金減額は行わず、最低賃金、時間外労働、法定給付を含む全ての賃金関連法令等を遵守したうえで、適正に賃金を支払います。
(9)安全・衛生の対策
安全確保のための点検や必要なルールづくり等、適切な安全対策を行い、身体的負荷のある作業や健康に被害を及ぼす作業については特定し、研修や保護具を提供する等の対策を行うなど、安全で衛生的かつ健全に就労できる職場環境を確保し、労働災害や職業的疾病の予防に努めます。
4 環境への配慮
当社および小田急グループが掲げる「小田急グループ カーボンニュートラル2050」に基づき以下を推進してまいります。
(1)脱炭素社会の実現
事業活動のみならず商品・サービス等のライフサイクルにおいて、エネルギー使用量、二酸化炭素等の温室効果ガス排出量、その他資源利用に伴う環境負荷量の把握に努めます。環境に関する情報を積極的かつ適切に公開・開示するとともに環境や人の健康への影響を十分考慮し、排出削減と再生可能エネルギーの活用・創発を進め、エネルギーの効率的な利用を図ります。また、商品・サービス等の製造時および使用時、施工時においては、石油・電力などの資源・エネルギー消費が従来よりも少ない省資源・省エネルギー製品を優先的に採用します。
(2)資源循環社会の実現
廃棄物の適正処分を行うとともに、資源のリデュース(削減)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)の3Rを前提に廃棄物の削減に取り組み、以下のグリーン調達を推進します。
① 長期使用可能製品の採用
耐久性、修理・部品交換の容易性等、保守・修理サービスの充実度や期間の長さを考慮し、長期間の使用が可能な製品を優先的に購入します。
② リサイクル製品の採用
再生素材や再使用部品が多く利用された製品を優先的に購入し、循環型社会の構築に努めます。
③ リユース・リサイクルの推進
不用になった際は分別徹底等により、再使用、再利用に積極的に努めます。
④ 廃棄時の適正な処理・処分の容易性
可燃・不燃性材料の分解性、有害物質の分別除去の容易性、焼却施設や埋立処分場への負荷などに配慮して設計されている製品を購入します。
(3)自然保全と活用(生物多様性に関する取り組み)
生物多様性を尊重し、周辺環境(森・里・川・海)や生態系への影響や負荷を考慮した事業活動を行います。大気・水質・土壌等の汚染を防止し、化学物質を適切に管理し、汚染物質の排出防止に努め、また、水資源の効率的な利用に取り組み、事業活動に伴い使用される水資源の保全を考慮し、有害排水を防止するなど、貴重な自然資源の保全活動を推進します。
5 適切な情報の管理
(1)商品・サービス等に関わる情報の適時適切な開示
商品・サービス等に関する説明等は、特に要否の判断に影響を与える重要な事柄や非常事態発生時については、正確かつ理解が得られるよう真摯に努めます。
(2)情報漏洩の防止
開示情報と守秘情報を明確に認識・把握し、適切な情報管理を行います。個人情報やプライバシー情報、機密情報等、取り扱う情報を保護し、情報漏洩を防ぐため、適切な情報管理体制を整備します。
6 ビジネスパートナーとの信頼関係構築
お取引先さまとのコミュニケーションをさらに活性化させ、積み上げた信頼のもとで、お客さまに「上質と感動」を提供するパートナーとして、持続的かつ強固なサプライチェーンの構築に共に取り組み、ともに成長を目指してまいります。
2024年1月1日制定
マルチステークホルダー方針
当社は、企業経営において、株主にとどまらず、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーとの価値協創が重要となっていることを踏まえ、マルチステークホルダーとの適切な協働に取り組んでまいります。その上で、価値協創や生産性向上によって生み出された収益・成果について、マルチステークホルダーへの適切な分配を行うことが、賃金引上げのモメンタムの維持や経済の持続的発展につながるという観点から、従業員への還元や取引先への配慮が重要であることを踏まえ、以下の取組を進めてまいります。
記
1.従業員への還元
当社は、経営ビジョンの実現には多様な人財の活躍が不可欠と捉え、経営資源の成長分野への重点的な投入、従業員の能力開発やスキル向上等を通じて、持続的な成長と生産性向上に取り組み、付加価値の最大化に注力します。その上で、生み出した収益・成果に基づいて、「賃金決定の大原則」に則り、自社の状況を踏まえた適切な方法による賃金の引上げを行うとともに、それ以外の総合的な処遇改善としても、従業員のエンゲージメント向上や更なる生産性の向上に資するよう、人財投資を中心に教育訓練等に積極的に取り組むことを通じて、従業員への持続的な還元を目指します。
(個別項目)
具体的には、社員一人ひとりの多様性を引き出し、地域・社会に価値を創造し続けられる人財を創出していくために、すべての社員が自分らしく働きながら能力を最大限発揮できる企業風土の醸成や、持続可能な経営を実現するための人財投資や人財育成に取り組んでまいります。
特に賃金の引上げをはじめとする処遇改善施策について、労使間での真摯な話し合いを通じて、自社の置かれた状況を踏まえた適切な方法により取り組むとともに、教育訓練等については、行動指針「人財マネジメントポリシー」に基づき、階層別研修の実施に加え、資格取得支援制度や通信教育講座の開設等の自己啓発支援制度の整備等により、社員の自律的な取り組みを促進し、地域・社会への価値創出貢献を次世代へ継承すべく取り組んでまいります。
2.取引先への配慮
当社はパートナーシップ構築宣言の内容遵守に、引き続き、取り組んでまいります。
なお、パートナーシップ構築宣言のポータルサイトへの掲載が取りやめとなった場合、マルチステークホルダー方針の公表を自主的に取り下げます。
- パートナーシップ構築宣言の登録日
2024年2月6日 - パートナーシップ構築宣言のURL
https://www.biz-partnership.jp/declaration/56675-08-00-tokyo.pdf
また、消費税の免税事業者との取引関係についても、政府が公表する免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関する考え方等を参照し、適切な関係の構築に取り組んでまいります。
これらの項目について、取組状況の確認を行いつつ、着実な取組を進めてまいります。
以上
令和7年3月31日
小田急電鉄株式会社 代表取締役 鈴木 滋
従業員の人権の尊重
当社グループでは、将来にわたりお客さまを想い、寄り添うサービスを継続的に提供していくため、「小田急グループ カスタマーハラスメント対応方針」を制定するとともに、当該方針に基づく共通の運用ガイドラインを策定し、カスタマーハラスメントに関する迅速な判別・対応、事象の報告・相談体制、発生抑止に向けた取り組み等を盛り込むかたちで運用を行っています。
ハラスメント行為に対して毅然と対応できる職場環境を整備していくことで、従業員の安心感やモチベーション・パフォーマンスの向上、ひいては人的資本の強化につなげていきます。
そのほか、ハラスメントに関して相談できる窓口として「ハラスメント・ホットライン※」を社内外に設置し、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメントをはじめとしたさまざまなハラスメントの早期発見を図るとともに、適切な是正措置および再発防止策を講じています。また、新任マネジャー研修のほか、各階層別研修において、ハラスメントが起こりやすい状況や相談があった場合の対応等についての教育を毎年行っています。
プライバシーが保護される体制が整備されており、匿名での利用も可能
小田急グループ カスタマーハラスメント対応方針
小田急グループ(以下、「当社グループ」という)では、グループ経営理念に『お客さまの「かけがえのない時間(とき)」と「ゆたかなくらし」の実現に貢献します』を掲げております。
私たち一人ひとりが経営理念を実現し、社会とともに持続的に発展していくためには、ステークホルダーとの健全かつ建設的な関係性の構築が不可欠であり、人権の尊重は、その全ての土台となります。当社グループは、人権尊重への姿勢を明確にするものとして 2024年1月に「小田急グループ人権方針」を定め、その方針に基づき、様々な人権対応の取り組みを推進してまいりました。
しかしながら、当社グループでもカスタマーハラスメントに該当する行為が継続的に発生しております。従業員が安全に、また安心感ややりがいを持って働き続けられる環境の維持・確保は、経営理念の実現には不可欠であり、ますます重要なものとなっています。
こうした実情を踏まえ、カスタマーハラスメントに対する当社グループの姿勢を社内外に明確に示すため、「カスタマーハラスメント対応方針」を策定いたしました。
当社グループでは引き続きお客さまのご意見 ・ご要望に誠実に対応する一方、カスタマーハラスメントには毅然とした対応を行ってまいります。お客さまやお取引先、地域のみなさまには、広くご理解を賜りますようお願いいたします。
詳細は以下のとおりです。
カスタマーハラスメントの定義
お客さま等からのクレーム・言動のうち、要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段 ・態様が社会通念上不相当なものであって、その手段 ・態様によって当社グループ従業員の心身の安全や健康または就業環境が害されるもの、あるいは当社グループの業務が不当に妨害されるもの
カスタマーハラスメントに該当する行為の例
- 身体的、精神的な攻撃(暴行、傷害、脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)
- 威圧的な言動、土下座の要求
- 継続的・執拗な言動
- 拘束的言動(不退去、居座り、監禁)
- 差別的な言動、性的な言動、つきまとい
- 従業員個人に対する攻撃、要求、権利侵害
- 従業員の個人情報等のSNSやホームページ等への投稿(写真、音声、映像の公開)
- 当社グループまたは従業員の信用を棄損させる行為
- 正当な理由のない商品交換、金銭補償、返品・返金、謝罪の要求
- 不合理または他のお客さま等との公平性を欠くサービス提供等の要求
※上記は一例であり、これに限りません。
カスタマーハラスメントに対する当社グループの対応姿勢
お客さま等からカスタマーハラスメントに該当する要求や言動が行われた場合には、それ以降の対応はお断りいたします。また、必要に応じて、警察への通報や弁護士への相談等の措置を講じ、厳正に対処いたします。
当社グループにおける取り組み
- 本方針による対応姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
- カスタマーハラスメントへの対応手順の策定
- 従業員教育・研修の実施
- 従業員のための相談・報告体制の整備
2024年8月27日制定
小田急電鉄株式会社
取締役社長
鈴木 滋
外部有識者からのコメント
「ビジネスと人権」を巡る国際的なルール形成が加速し、企業への対応要請が高まる中で、このように小田急グループとして人権尊重の取り組みを推進されているのは大変意義深いことと考えます。全社共通の重要人権リスクを特定した上で、さらに各事業に特有の重要リスクも整理されている点や、取引先に対して個別のフィードバックや改善指導まで踏み込んでいる点などは、ぜひ今後も継続いただきたいポイントです。
また、消費者との接点が特に多い業態として、カスタマーハラスメント対策に注力されている点も非常に重要な取り組みです。今後は、直接の取引先に留まらずサプライチェーン全体の人権リスクの把握をどう深めていけるか、また、各重要リスクに対していかに具体的な予防・是正策を講じていけるかが問われるでしょう。加えて、人権侵害が発生した際に適切に救済するためのグリーバンスメカニズムの実効性についても、一層の強化が期待されます。
そして、こうした「守り」の取り組みを超えて、自社の事業を通じてさまざまな人権課題の解決に積極的に挑む「攻め」の姿勢も、ぜひ今後期待したいところです。一人ひとりの「ゆたかなくらし」への貢献を掲げる小田急グループとして、事業の中でこそ解決できる人権課題が数多くあるはずです。
人権尊重の取り組みを今後もさらに進化させ、社会全体に前向きな変化をもたらしていただくことを心から期待しています。
