パリ協定採択以降、世界の国や政府は脱炭素化に向けた動きを加速させています。また、地球温暖化の影響と考えられる自然災害が頻発・激甚化しており、事業活動に影響を与えています。
このような中、当社グループでは気候変動問題を含む環境対応は重要な経営課題として位置づけ、2021年9月に「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定するとともに、TCFDへの賛同を表明しました。これらに基づきカーボンニュートラルへの取り組みを進め、2022年4月に当社グループとして初めて「TCFD提言に基づく情報」を取りまとめ、運輸業と不動産業を対象としたリスクと機会の分析結果を開示致しました。
この度、事業環境の変化を踏まえリスク・機会の項目について見直しを行うとともに、当社グループの新たなセグメント構成で交通業、不動産業、生活サービス業の全ての事業を対象に分析を深耕し、定量開示致しました。今後も気候変動問題などの環境対応に積極的に取り組みます。

ガバナンス

当社グループでは、環境長期目標を含めた行動指針「小田急グループ カーボンニュートラル2050」を策定し、取り組みを進めています。この推進に関する事項の協議および気候関連のリスク・機会についての特定を行う機関として、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」を設置しています。
また、取締役社長はサステナビリティ推進委員会から報告を受け、目標に向けた進捗状況や気候関連のリスク・機会などを監視するとともに、それらの内容は執行役員会、取締役会にも報告され、協議のうえ、必要により指示を出すことにしています。
サステナビリティ推進委員会で協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図り、取り組みを推進しています。

【体制図】

体制図

戦略

⑴ リスクと機会

当社グループにおいて交通業、不動産業、生活サービス業の重要なリスクおよび機会について検討した結果は次のとおりです。なお、気候変動がもたらすリスクは、TCFD提言に合わせて低炭素社会への移行に伴うリスク(移行リスク、主に1.5℃シナリオ※1)と物理的な影響に伴うリスク(物理的リスク、主に4℃シナリオ※1)に分類し検討しました。検討においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)、IEA(国際エネルギー機関)等のシナリオを参照しました。

リスク/機会 項目 事業へ影響を与えうる主な内容 対象事業 影響度
※2
期間
※3
交通 不動産 生活サービス
移行リスク
※1.5℃上昇に留める世界
政策・法規制 非化石燃料消費によるCO2排出量削減を目的とした炭素税等導入によるコスト増加 中期・長期
政策・法規制 排出規制強化に対応した車両導入に伴うコスト増加(EVバス) 中期・長期
政策・法規制 省エネ法等の強化や省エネ性能の義務化(ZEB化・ZEH化)による設備導入コスト増加 中期・長期
市場 消費者の嗜好の変化に対応した低炭素鉄道車両導入によるコスト増加 中期・長期
市場 炭素税導入による資材高騰や調達コスト増加分のサービス・商品価格への転嫁による顧客離れ(顧客買い控え) 中期・長期
評判 環境意識の高まりに伴う選好の変化により顧客の減少 中期・長期
物理的リスク
※対応せず4℃上昇となる世界
急性 風雨の増大や長期化に伴う運休・沿線施設の休業発生による収入減少(相模川の氾濫を想定) 短期・中期・長期
風雨の増大や長期化に伴う災害復旧コストの増加(相模川の氾濫を想定) 短期・中期・長期
風水害による設備の損壊リスクの増大 短期・中期・長期
サプライチェーン分断に伴う車両等鉄道設備整備不可の発生と運休による収入減少 短期・中期・長期
サプライヤー被災による提供サービスの削減、休業の発生 短期・中期・長期
慢性 自然資源の変化や観光資源の損害による旅客減少 中期・長期
天然資源の減少、産地変化による仕入れコストの高騰化 中期・長期
新型感染症の発生による旅客・顧客減少に伴う収入減少 短期・中期・長期
夏季の出控えによる収入減少 中期・長期
降水量の減少に伴い浅層からの源泉量減少が生じ、温泉を求める顧客減少による収入減少 中期・長期
機会 製品・サービス 環境嗜好・ニーズの変化を捉えた脱炭素化や環境配慮商品の充実による旅客・収入増加 中期・長期
低炭素(ZEBおよびZEH化)や防災能力の高い物件への需要向上による収入増加 中期・長期
市場 脱炭素社会・資源循環社会に向けた地域課題の解決に関する事業の拡大、参入 非公表 中期・長期

※1 産業革命前と比較した今世紀末の世界の平均気温の上昇温度
※2 影響度 大:50億円以上、中:50億円未満、小:10億円以下
※3 短期:0~3年未満、中期:3~10年未満、長期:10年以上

⑵ リスク・機会への対応

当社グループでは、重要なリスク・機会に対し「小田急グループ カーボンニュートラル2050」とともに、以下の表のとおり対応してまいります。

対応策
移行リスク 省エネ車両・設備の導入
新規物件への先進技術導入
EV・FCVバスの導入
再生可能エネルギーの更なる導入
物理的リスク 異常気象時における施設への安全対策
災害時避難や復旧に備えた体制の確立
防災訓練の実施
機会 回生電力の更なる有効活用
グループ交通網の再エネ100%化等環境優位性のPR
シームレスかつ利便性の高いMaaSの推進
サステナブルなライフスタイルの提案
ウェイストマネジメント事業「WOOMS」の推進

リスク管理

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の実現に向けて、サステナビリティ担当執行役員が委員長を務める「サステナビリティ推進委員会」においてCO₂排出量を削減するための施策の計画・立案・進捗管理を四半期に1回程度行っています。また、戦略において特定した気候変動によるリスクと機会について、分析内容の更新や取り組みの進捗を「サステナビリティ推進委員会」で協議するとともに、必要に応じて取締役会、執行役員会および取締役社長に報告します。協議した事項は、当社各部・室および当社グループ全体で共有・連携を図っています。
なお、自然災害等発生したリスクに対しては、危機管理規則および事業継続計画(BCP)に基づき対応を行います。これらはリスクマネジメント担当執行役員が委員長を務める「リスクマネジメント委員会」にて定期的に見直しを図り、レジリエンス強化に努めています。

指標と目標

「小田急グループ カーボンニュートラル2050」の中で環境長期目標を設定しています。

小田急グループは2050年度CO₂排出量実質「0」をめざします
その達成に向け2030年度CO₂排出量△50%(2013年度比)をめざします

※グループ交通網の100%再エネ化に伴い、2030年度目標を2024年度実績で早期達成しました。

CO₂排出量

※2024年3月、CO₂排出量算定において調整後排出係数使用に変更するとともに、環境長期目標の対象会社を全ての連結子会社へ拡大し、基準年度(2013年度)から再集計しました。
※構造変化(2024年4月1日UDS㈱および沖縄UDS㈱の連結除外)を、基準年度(2013年度)以降のCO2排出量に反映しました。