安全で安定した輸送体制の確立を目指して(4)
人材の育成
1.乗務員の養成
運転士の養成教育
運転士の養成教育では、国家資格である「動力車操縦者運転免許」を取得するため、約8ケ月間にわたり当社研修センターで、運転法規など8科目にわたる学科講習を受け、その後、現場で技能講習を受けます。
「動力車操縦者運転免許」取得後も3年間の追指導を行い、毎年1回の実務審査、業務考査のほか、各種教育を実施し知識、技能についての向上を図っています。
車掌の養成教育
車掌の養成教育では、約2ケ月間にわたり学科講習と合わせ、研修センター内の実際の車両を使用して作られた「車掌シミュレーター」により、さまざまなシチュエーションでの扉操作や車内アナウンスの訓練などが行われます。
単独乗務開始後も3年間の追指導を行い、毎年1回の実務審査、業務考査のほか、各種教育を実施し知識、技能についての向上を図っています。
2.ヒューマンエラー防止と技能伝承研修
鉄道事業における安全・安定輸送に必要なヒューマンエラー防止に関するものと、技能の伝承に関する2つの研修を新たに実施しました。
ヒューマンエラー防止研修
ヒューマンエラーが発生した場合、どうしても人間特性だけに焦点が当たりがちですが、未然・再発防止を図っていくためには、組織と人・現場、システムが複雑に絡み合って発生することを理解した上での対応が必要です。研修ではそれを踏まえた上で、これまでとは違った視点からエラーの要因を分析し、解決に至るまでのマネジメントサイクルを確立させる手法について研修を実施しました。

技能伝承力向上研修
技術を伝えていく必要性を認識することから始め、職場の効率の維持やパフォーマンスの安定化を図るために、少数の「匠」を育てるのではなく変化に適応した技能を身に付けさせるように各部門の管理者を対象として「どのように若手を育成していくか、技能を伝承していくか」について研修を実施しました。
3.その他の人材育成
上級救命教習
急病やけがをされた お客さまへの初期対応に必要な知識・技能を学ぶことを目的として、2005 年度より上級救命講習を開催しています。この講習では、消防署の協力を受け、人工呼吸や心臓マッサージ、AEDの使用法などについて講義と実技を行います。2007年度末現在、上級救命技能認定者は810名となっています。
サービス介助士の育成
体の不自由なお客さまや高齢のお客さまに対して、歩行介助や車いすの介助方法など、電車の乗り降りや駅構内の移動を適切にお手伝いすることのできる知識、技能を習得した者に与えられる民間資格「サービス介助士」を取得した係員を配置しています。