安全施設強化に努めました。

列車運行時の安全確保に向けた取り組みを強化しています。

主な取り組み

[1] 新列車制御システム(D-ATS-P)の導入

現在のATSに替え、新列車制御システム「D-ATS-P(Digital Automatic Train Stop Pattern)」の導入を進めています。

このシステムは、先行する電車に追突しないよう信号情報を連続的に各電車に伝え、ブレーキを自動的に作動させることを可能にするものです。また、最新のデジタル技術を駆使し、急曲線・分岐器・下り勾配などでのきめ細やかな速度制御が可能となります。さらに、踏切内で「踏切支障報知装置」が動作した際は、接近してくる電車に危険情報を知らせ、自動的にブレーキを作動させることができます。

D-ATS-Pの導入により、列車運行の安全性がさらに向上することから、全線設置を目指したシステム構築を引き続き推進します。

[2] 緊急ブレーキ装置の整備

運転士が急に体調を崩したなどの不測の事態が発生した場合に備えて、運転士が1分以上加速やブレーキなどの操作を行わない場合は、非常ブレーキがかかるEB装置(運転士異常時列車停止装置)を、2010年度末現在、157編成中135編成(全体の約85.9%)に導入しており、2011年度までにすべての車両への導入が完了する予定です。なお、現時点でEB装置が導入されていない車両には、電車の加速中に運転士がハンドルから手を離した場合に、非常ブレーキがかかる装置が装着されています。

[3] 複々線化工事区間での安全確保

地下化される東北沢駅~世田谷代田駅間の複々線化工事区間では、列車運行を確保しながら、在来線直下でトンネルを構築するという非常に難しい工事を進めており、さまざまな安全対策を講じています。中でも、2010年度は掘削工事を本格的に開始し、開削工事区間の工事桁や土留壁、環状7号線直下での推進工事に伴う道路面の隆起などをリアルタイムで計測監視しています。

また、掘削発生土の運搬のため、工事用車両が幅員4mほどの生活道路を往復するため、約1kmの区間に10人以上の誘導員を配置したり、社員による沿道のパトロールを実施し、事故の未然防止に努めています。

2010年度の主な取り組みを紹介します。

[1] 青色照明の設置

ホームにおいて、電車への飛び込み防止対策の一環として、生田駅、柿生駅、小田急相模原駅に「青色照明」を設置しています。これは、鎮静効果による自殺防止の効果が期待されていることから、試験的に導入したものです。

 

[2] 旅客流動の改善

混雑時のホームでは、乗降されるお客さまが交錯し、危険な状態となることがあります。そこで中央林間駅では、コンコースおよび階段部分の通行区分を入れ替えて、お客さまがスムーズに乗降できるようにしました。

 

[3] ゼブラゾーンの設置

代々木上原駅では、ホーム端部に斜線によるゼブラパターンを表示し、お客さまがホームから不意に転落しないよう注意喚起を図りました。

 

[4] 可動式ホーム柵の導入および検討

ホームでの線路転落や触車事故などの未然防止対策として、可動式ホーム柵を新宿駅4・5番ホームに設置する工事に着手し、2012年度中の完成を目指します。今後は、新宿駅設置後の運用や技術面などの検証を行うとともに、ホーム柵設置のための各種課題の検討を引き続き、進めていきます。

COLUMN:お客さまに対する事故防止啓発活動

お酒に酔ったお客さまによる列車支障などが多く発生する年末・年始の期間において、駅構内でポスターを掲示するなど、事故防止のための啓発活動を行っています。2010年12月には、登戸駅ならびに海老名駅においてポケットティッシュを配布しました。

 

踏切での事故・トラブルの未然防止に取り組んでいます。

主な取り組み

[1] 踏切視認性向上策の実施

ドライバーなどが遠くからでも踏切を見落とさないように、次のようなさまざまな取り組みを行っています。

全方向閃光灯。全方向から視認できるよう円筒型(提灯型)の閃光灯を採用したもの。2010年度までに23カ所に採用。

 

オーバーハング型踏切警報機。道路上に警報機をかぶせたもの。2010年度までに17カ所に採用。

 

大口径遮断桿(だいこうけいしゃだんかん)。
遮断桿の太さを通常の約2倍にしたもの。
2010年度までに7カ所に採用。

 

[2] 踏切でのカラー舗装化

歩行者が通行する際の安全確保や、自動車が踏切道内に取り残されてしまうことなどを防止するために、列車支障の多い一部の踏切道においてカラー舗装を実施しています。

これは、歩行者の通行空間を明確にすることや、ドライバーが踏切道を通行する前に、踏切道先に自車が入れるスペースがあるかを確認できるよう配慮したもので、踏切道の保安度向上施策として期待されています。

2010年度では、自治体や所轄警察署のご協力により、全線で21カ所の踏切道において実施しました。

 
歩行者の通行空間をカラー舗装化
 
踏切道先のスペースを明示化

[3] 踏切集中監視システムの活用推進

踏切保安装置の故障などによる事故を未然に防ぐため、電気司令所ならびに電気システム管理所において、複々線化工事区間(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)を除く全踏切の状態をリアルタイムに監視できる「踏切集中監視システム」を導入しています。

踏切集中監視システムの監視カメラや放送機器を活用することで、踏切の映像による監視、記録、現地踏切への放送なども可能となったほか、踏切で異常が発生した際の現場状況の早期確認や初期対応のスムーズ化も図られています。また、「踏切障害物検知装置」の動作回数などの集計が容易になったことから、リスクの高い踏切把握にも役立てています。

 
踏切集中監視システム

[4] 踏切監視警告板の設置

「踏切集中監視システム」の設置に伴い、監視中であることを警告した「踏切監視警告板」を電車に対する妨害行為の多かった36踏切に対して設置しています。この結果、設置した踏切では多発していた妨害行為(置石や非常ボタンのいたずら操作など)が、設置後大幅に減少していることから、一定の効果を挙げていると考えられます。

 
踏切監視警告板

[5] 青色照明の設置

踏切において、電車へ飛び込む自殺などの防止対策の一環として、2010年度には3カ所の踏切に設置し、現在8カ所の踏切に「青色照明」を設置しています。これは、鎮静効果が期待されていることから、試験的に導入したものです。

 

[6] 注意喚起放送装置の設置

踏切での無理な横断を防止するため、音声による注意喚起や踏切が開くまでのイライラ感を緩和するためのメロディを流す装置を、向ヶ丘遊園1号踏切へ試験的に設置しました。

 

[7] 啓発看板の設置

歩行者の無理な横断などによる踏切支障の防止を目的として、鶴川1号踏切と玉川学園前7号踏切に啓発看板を設置しました。また、自動車による踏切支障の防止を目的として、ドライバーへの看板を、鶴川2号踏切や本厚木20号踏切に設置しました。

看板については、設置箇所それぞれの状況にマッチした図案を採用し、歩行者やドライバーへメッセージをより強く伝えられるよう工夫しています。

 
玉川学園前7号踏切
 
鶴川2号踏切

お客さまに安全と安心を(安全報告書2011)